書評:『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎/東京創元社(創元推理文庫)

本屋さんに行ったら伊坂幸太郎コーナーのように平積みでどっと著作が並んでいたのでちょっとジャケ買い。どの作品にしようかちょっと悩んだのだけれども、『「一緒に本屋を襲わないか」標的は、たった一冊の広辞苑!?』というオビ広告に惹かれてまずはこの作品から読んでみることに。全く知らなかったのだけれども、本作を原作とした映画化もされていたみたいですね。

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は−たった一冊の広辞苑!? そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ! 注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。

本作は現在と過去の交互にストーリーが展開し、次第に過去と現在が結びついていく。過去の登場人物と現在の登場人部のつながっていくのだが、そこにはいくつかの疑問点を抱えたままストーリーは展開していき…。
伊坂幸太郎作品を読んだのは初めてだったが、森博嗣ほど深遠さはなく、中尾維新ほど壊れてはいない、推理小説としては王道的な、最後には全てのピースがカッチリとはまってパズルが完成するような作品であった。なかなか面白かったので、何作か伊坂幸太郎作品を読んでみる予定。