三つ巴〜サーバ・デスクトップ・アプリケーションの仮想化

仮想化市場の主要ベンダーといえばVMware, Microsoft, Citrixということになっていますが、それぞれ他社をリードする分野を持ちつつ、他社がリードする市場を切り崩すべく戦いが繰り広げられています。
VMwareがリードするのはサーバの仮想化。インフラの仮想化という意味では突破口となった分野です。故に、VMwareは仮想化においてオピニオンリーダー的な地位を占めており、現在でもその立場は強固なものである状況は変わりません。VMware Infrastructureは実績・管理性・様々なオプション機能などにおいて他社を1歩・2歩リードしています。
Citrixがリードするのはデスクトップの仮想化。Meta FrameからXenAppへと続くターミナルデスクトップもありますが、合わせてXenDesktopをラインナップに持ちXenServerのみならずHyper-VやVI3での実行もサポート、そしてなんといってもリモートプロトコルとしてICAを持っていることがCitrixの優位性といえます。
Microsoftがリードするのはアプリケーションの仮想化。MDOP(Microsoft Desktop Optimization Pack)の1コンポーネントとして提供されているため、普通に入手できるアプリケーションとしては提供されていませんが、Application Virtualization (App-V)はアプリケーションの仮想化ツールとしては他社をリードした完成度にあると感じます。企業向けの事例も増え始めていますが、やはり大学などの教育機関が切り口となって意外とじわじわと市場を形成しつつあります。やはりソフトウェア企業としては世界一のMicrosoft。市場を大きくブレイクスルーことはなくとも地道に半歩先を行くのは得意なようです(^_^;)。
このようにそれぞれのリードする分野での立場を守りつつも、各社は他社のリードする分野への切り込みの手をゆるめません。
たとえば最近の話題で1つ例を上げるとするとVMware。12社目の買収としてTangsten Graphicsの買収を行った模様ですが、この会社はOpenGLなどのグラフィックスレンダリングソフトウェアの根幹を支えている企業です。この会社の買収はどう考えてもデスクトップの仮想化を強化する戦略であり、ICAを武器にするCitrixに対する強烈なカウンターパンチと言えるでしょう。
そんなかんじで、市場としても急拡大している仮想化ではうかうかとしていると逆転されるのもまたあっという間に行われかねない状況が続いています。2009年にどんな製品が各社から登場するのか、夢物語をどこまで現実のものにしているのかという視点で楽しみにしたいと思います。