Windows Vista Enterprise Centralized Desktop (VECD)

仮想化をデスクトップ環境にまで押し広げようと考えた場合に費用面で最大の課題となるのがライセンスコストです。VMware ViewやXenDesktopといった、デスクトップの仮想化に必要な追加機能を提供する製品自体はOS自体のライセンス費用に比べたらはっきりいってたいしたことはないコストともいえます。デスクトップ環境はこれまでデスクトップ・ラップトップのパソコンに付随してくるOEM版であることがある意味で当たり前でしたが、仮想デスクトップとなるとハードウェアに紐付いたライセンス形態は成り立ちません。かといって、パッケージライセンスやボリュームライセンスなどを購入するとなると一時点で膨大な予算が必要になることとなり、現実的ではない…というわけで、Microsoftがこの状況に対して唯一提供しているライセンス形態がこの"VECD"となります。

Windows Vista Enterprise Centralized Desktop (Windows VECD) は、物理サーバー上の仮想デスクトップで Windows デスクトップ オペレーティング システム (OS) を実行するために必要なライセンスです。
Windows VECD には、Windows VistaWindows XP などをローカルで実行する社内の既存 PC (リッチ クライアント) 端末向けの Windows Vista Enterprise Centralized Desktop for Software Assurance (Windows VECD for SA) と、Windows EmbeddedWindows CE などをローカルで実行するシン クライアント端末向けの Windows Vista Enterprise Centralized Desktop (Windows VECD) の 2 種類のライセンスが用意されています。なお、社内の既存 PC (リッチ クライアント) 端末向けの Windows VECD for SA は、Windows デスクトップ OS のソフトウェア アシュアランス (SA) を保有する PC を対象に購入することができます。
Windows VECD for SA および Windows VECD は、月額設定のサブスクリプションライセンスとして提供され、仮想デスクトップにアクセスするデバイス単位でライセンスを購入します。また、Windows VECD for SA、または Windows VECD を取得したデバイスは契約期間中、Windows Vista Enterprise や以前の Windows デスクトップ OS を無制限に仮想デスクトップに展開し、このうち最大 4 つの仮想デスクトップを同時に実行することができます。

http://www.microsoft.com/japan/virtualization/licensing/VECD.mspx
VECDは月額によるサブスクリプションライセンスとして提供されるという点が最大のメリットです。逆にノートパソコンなどのPCを用いる場合のVECD for SAライセンスの場合、SA(ソフトウェア・アシュアランス)が必要となるという点はちょっとデメリットかもしれません。マイクロソフトとしてはOSライセンスを1度の買い切り型から継続的なフロー型に切り替えることが今後新しいかたちの収入形態となる可能性があります。

Q. OEM (プリインストール) を通して購入した Windows のライセンスをサーバーやストレージ上で実行する仮想マシンのライセンスとして使用できますか?
A. いいえ、できません。OEM から供給される Windows ライセンスは、製品出荷時にセットになっていた PC 以外では使用することができません。

「使用する」という概念が変化してきたことにライセンスの課題があります。デスクトップを使用する、とは実行環境を指すのでしょうか?実行される環境が実際に配置されている環境を指すのでしょうか?まぁ厳密にはライセンスとして定められているのでしょうが、ユーザとして理解しづらいというか、素直には納得できない状況ではあります。
Microsoft WindowsでもVirtuozzo/OpenVZのような形態でのOSのあり方は…無理でしょうね(^_^;)。ま、仮想化された環境でデスクトップを使用することが今後オフィスユースを中心に当たり前になった時に、Microsoftがライセンスをこねくり回すだけでなく、ソフトウェアとしてのOS自体をどのように進化させてくるのか、仮想デスクトップのような技術とクライアントハイパーバイザのような技術がどう融合していくのか、まだまだデスクトップの仮想化は黎明期の状況といえます。
http://www.microsoft.com/japan/windows/products/windowsvista/enterprise/vecdoverview.mspx