書評:『女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN』森博嗣/新潮文庫

ミステリィといえばミステリィなのだが、SFミステリィともいえる、森博嗣の作品の幅広さを感じずにはいられない作品。ミステリィとしてトリックはそれほど斬新ではないものの、ストーリーの組み立ては絶妙。ミステリィファンには違和感を感じる作品なのかもしれないが、私としてはとても面白く読むことができた。

女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN (新潮文庫)

女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN (新潮文庫)

2113年の世界。小型飛行機で見知らぬ土地に不時着したミチルと、同行していたロイディは、森の中で孤絶した城砦都市に辿り着く。それは女王デボウ・スホに統治された、楽園のような小世界だった。しかし、祝祭の夜に起きた殺人事件をきっかけに、完璧なはずの都市に隠された秘密とミチルの過去は呼応しあい、やがてー。神の意志と人間の尊厳の相克を描く、森ミステリィの新境地。

本書の解説はしてもあまり面白さは伝わらないかもしれない。ということで、表紙にも使われており、冒頭に「クリスティナ・ガルシア・ロデロに感謝する。彼女の一枚の写真が、この物語のすべてと等しい。」とあるように本書のストーリーを作成するのに大変大きな影響を与えたであろうクリスティナ・ガルシア・ロデロという写真家についてちょっと調べてみた。
スペインの女性カメラマンであるクリスティナ・ガルシア・ロデロは、現在も活躍している様だ。
http://www.magnumphotos.co.jp/ws_photographer/roc/index.html
ぜひ機会があったら彼女の撮った、ほかの写真も見てみたいと思う。