書評:『月は幽咽のデバイス The Sound Walks When the Moon Talks』森博嗣/講談社文庫

Vシリーズ第3弾。祖父江七夏などが登場してかなりかき回してくれた第2作『人形式モナリザ』と比べると、ちょっとずるずる感。ミステリィとしても、トリックは微妙かな…。

月は幽咽のデバイス (講談社文庫)

月は幽咽のデバイス (講談社文庫)

薔薇屋敷あるいは月夜邸と呼ばれるその屋敷には、オオカミ男が出という奇妙な噂があった。瀬在丸紅子たちが出席したパーティの最中、衣服も引き裂かれた悲惨な死体が、オーディオ・ルームで発見された。現場は内側から施錠された密室で、床一面に血が飛散していた。紅子が看破した事件の意外な真相とは!?

S&Mシリーズと比較して、Vシリーズは裏のある登場人物だらけ(ついでに書けば、貧乏人だらけ)。登場人物も都合良く便利なメンバーがそろいすぎている感もあるが、まぁシリーズものとしては妥当かな。
それにしても、「そうくるかぃ」という結末。ま、森博嗣らしいオチではあるのだけれども…。魅力的な伏線が紡がれていた前作に比べると、シリーズ中盤の中だるみ作品のような気がします。