書評:『恋恋蓮歩の演習 A Sea of Deceits』森博嗣/講談社文庫

飛行機に続いて、船。すっかり保呂草が主役に躍り出ているが、推理を解き明かすポジションはしっかりと瀬在丸紅子が確保、といったかんじか。前作とまったく分離した個別のストーリーではあるものの、最後のシーンなどは前作を読んでいないとなんのこっちゃらなのでちょっとだけ要注意。

恋恋蓮歩の演習 (講談社文庫)

恋恋蓮歩の演習 (講談社文庫)

世界一周中の豪華客船ヒミコ号に持ち込まれた天才画家・関根朔太の自画像を巡る陰謀。仕事のためその客船に乗り込んだ保呂草と紫子、無賃乗船した紅子と練無は、完全密室たる航海中の船内で男性客の奇妙な消失事件に遭遇する。交錯する謎、ロマンティックな罠、スリリングに深まるVシリーズ長編第6作!

消えた絵と人。その複数の問題が最後まで絡み合っていくワクワク感がたまらない。素直にミステリィとして面白い。第5作・第6作の2作はなかなかお勧めできる作品でした。