仮想化ありきな世界=クラウド?

サーバ仮想化の波に続き、クライアント仮想化の波が形成されつつあります。デスクトップ、アプリケーション、クライアントハイパーバイザーなど、まだまだ様々なソリューションが百花繚乱状態ですが、どの技術がクライアント仮想化にブレイクスルーをもたらすのか、この先1,2年で見えてくることになりそうです。
ここ数年、CPUはおおよそ3GHzぐらいでクロック性能は頭打ち状態が続いており、デュアルコアクアッドコア、ヘキサコア(6コア)とマルチコア化による処理性能の向上が主流となっています。またRAMもサーバであれば128GBぐらい搭載できるモデルは一般化しつつあり、計算リソースの急速な成長に対して、OSやアプリケーションといったソフトウェアはそうしたハードウェアの進化を充分に活用できていない場合がほとんどです(というより、一方ではネットブックのような必要最小限を志向する流れがあり、ターゲットとするハードウェアの幅が広がりすぎてソフトウェアが汎用的になりすぎているともいえます)。
こうした状況に対して、個々のOSやアプリケーションにおける最適化を目指すのではなく、「全体として」最適化させてしまうことができる技術として仮想化が注目されることは必然といってしまってもよいのかもしれません。仮想化技術の進歩とハードウェアによる支援の充実により、仮想化によるオーバーヘッドは相対的に小さいものになりつつあり、性能面においても仮想化技術を用いない理由もなくなりつつあります。
仮想化の行く先としてクラウドコンピューティングがあるのかはまだはっきりとはしていませんが、ハードウェアとソフトウェアのつながりが次第に仮想的なものとなりつつあることは確かであり、究極はハードウェア、ソフトウェア、そしてサービスの3つの間の垣根はよりあいまいなものとなっていくことは確実といえるでしょう。
ハードウェア、ソフトウェア、サービスはどれが欠けても成り立たない相互の依存関係にあります。クラウドコンピューティングにおいてAmazonが先行的なポジションを築いた様に、業界の垣根もまたあいまいとなり、相互に市場に浸食し合うことによって10年もすれば業界の枠組み自体が変化していき、ハードウェア出荷台数やOSシェアなどといった比較はあまり重要ではない要素となっていってしまうということも充分に考えられます。