AppleとGoogleを財務面で比較すると

こちらで連載されている"財務3表で読み解くニュースな企業"連載が毎回興味深いです。ちなみに、比較に使われるフォーマットはこちらで書評させて頂いている『財務3表一体理解法』形式。この形式の最大のポイントは、損益計算書と貸借対照表のサイズが同じ縮尺で表示されることによって、視覚で比較がしやすい点です。しっかり図表作成ソフト『図解の達人』も発売されています
最新の3/16はAppleとGoogleが財務諸表の面で比較されているのですが、IT業界において高い注目を受けている両社を財務面から観てみると、また新しい発見があってなんとも面白い。

左側がGoogle、右側がApple。この比較結果においてAppleの方が総資本・売上高いずれも大きいことを意外に思うか、それともGoogleがこれだけの規模の会社となっていることを意外に思うかは観る人によって感覚が違ってくるのではないかと思います。
ちなみに、このエントリーを書いている際にiPhoneで確認したAppleの株価時価総額は201.1B、Googleの株価時価総額は178.1Bとなっています*1。財務諸表の面からもこの時価総額が反映されているように思えます。Googleの粗利62.6%って、いったいどうなっているんでしょうか(^_^;)。これだけ余裕があればそりゃすぐに利益に繋がらないようなプロジェクトにも腰を据えて取り組めるというものです。それに対して、Appleの粗利は36.0%。Googleと比較してしまうから少なく見えますが、ソフトウェアだけではなく、iPodiPhoneMacなどハードウェアも販売している会社としては驚異的な数字です。どちらの会社も総資本に対する売上高の比率が小さいように見えますが、両社ともに潤沢すぎるほどの現金(およびそれに付随する債権等)を溜め込んでいるために総資本がふくれあがっているためといえるのではないかと思います。これだけの余裕があるからこそ、両社ともに徹底的に製品やサービスを作り込んでいく腰を据えた取り組みができるといえるのではないでしょうか。
数字から見えてくることって、色々と想像が広がっていきますね。
(3/22追記)
Appleを収益構造の面から分析しているBlogエントリーがありました。

もっとソフトウェアやサービスの比率が高いのかと思っていたのですが、実体はMaciPhoneiPodその他という売上比率なんですね。また、iPodの売上額はほぼ頭打ちであることは意外なのですが、iPhoneを3G、3GSとリリースすることによって一気に大きな収益の柱に育てている点などはすごいとしか言いようがありません。iPadiPhoneのようにここから先数年の収益の柱に育て上げるつもりなのかどうかはわかりませんが、個人的には頭打ち状態のiPodの売上を少しでも拡大するぐらいの結果になればいいぐらいなんじゃないかと思っていたりもします。Appleのことですから何か驚きのブレイクスルーを打ち出してくるのではないかという期待感がある点はAppleならではなのではないかと思いますけど。

*1:参考まで、DELLの株価時価総額は27.93B、Yahoo!の株価時価総額は23.10B。それぞれAppleGoogleの1/8前後とその差は歴然…。