"Life is beautiful"の中島さんのエントリー「Appleが打つべき次の一手」がかなり興味深いので二番煎じしてみる。
- iTunes storeという武器をいっそう強力なものにして誰も追いつけないところまで持って行く
- iPhone 向けのアプリの開発者が増えていることをアップルにとっての最大の武器にする
- $200〜$300という低価格のnetbooksがMacBookに与える値段圧力に対する戦略を立てる
クライアントアプリケーションの時代、AppleにとってWindowsを採用していないことは弱みであり不遇の時代を過ごすことになったが、その後のウェブアプリケーションの時代においてはMac OS Xが間に合ったこともあり、逆に強みとしてAppleに大きな収益をもたらしている。ウェブアプリケーションを使うためにOSはさして重要ではない。ユーザエクスペリエンスという意味で、Appleが提供するラインナップはユーザにとって「それだけ支払う価値のある」おもてなしになり得ている。
そして何よりもAppleの現時点における最大の強みはコンテンツを押さえつつあることだろう。Windowsが有力ソフトウェアのみならず無数のアプリケーションの実行基盤となったからこそデファクトスタンダードとしての地位を確立したように、Appleはオンラインアプリケーションの時代におけるデファクトスタンダードの立場を手に入れることも十分可能なポジションに位置付けている。
iTunes storeの強化
- 映画の品揃えをNetFlixやAmazonに対抗できるレベルまで増やし、本気で「ビデオレンタルビジネス」の市場を奪いに出る
- 米国のスタバでやっているような「無料WiFiを通して今流れている音楽をその場でiTunes storeから買える」というサービスを全世界の人の集まる場所で展開する (「iTunes store in the air」戦略)。
Appleはソフトウェア(iTunes)からハードウェア(iPod)までを1つの統合されたサービスとしてユーザに提供することによってネット時代のポータブルプレイヤーにおいてデファクトスタンダードの地位を手に入れたが、その地位を維持するためには圧倒的なコンテンツと結びつけていく必要がある。ユーザはiPodやiTunesを必要としているわけではなく、コンテンツを手間暇なく入手し実行できるサービスを必要としている。音楽では圧倒的なリードを築いたAppleだが、映像、そしてネットアプリケーションのインフラ環境においてもそのポジションを維持し、より強固なものとすることができるか、それはAppleの次の一手にかかっている。
アプリの開発者の支援・活用
Appleはハードウェアとソフトウェアを高度に統合するために全てを自分で抱え込むポリシーを根底に持っているが、市場を握りたいのであれば開発者コミュニティへの支援とサポートは欠かせない要素といえる。ほとんど全ての人が必要としないアプリケーションだとしても、限られた人たちにとっては欠かせないアプリケーションというものは確実に存在する。そしてそうした積み重ねは最終的に無視できない規模のユーザ基盤に結びついていく。
netbooks対抗
Appleがネットブックの波に乗らずにいるのはApple税とも揶揄される、Macにならば追加で支払ってもよいとユーザが考える追加コストを失いたくないからであろうが、Appleは単にネットブックをリリースするのではなく、確実にサービスとして継続的な収入源になりえる、お得意のソフトウェアと高度に統合されたハードウェアとしてネットブックに対抗する製品をリリースするタイミングをねらっているのではないだろうか。
iPhoneで得たノウハウや技術とiPod/iTunesで得たコンテンツ基盤を融合するような、誰もがいつでも持ち歩きたいと思える夢のデバイス。Appleの最大の武器は「きっとAppleならばそんな製品を発表して僕らを興奮させてくれるんじゃないか」と思わせていることなのかもしれない。