2007/02に書評をエントリーした『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)の続編ともいえる一冊。前書に続き、本作も必読本として強く推薦したい作品だ。科学の最前線は、現実は小説よりも断然面白いということを思い出させてくれる。
- 作者: 池谷裕二
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2009/05/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 第一章 脳は私のことをホントに理解しているのか
- 第二章 脳は空から心を眺めている
- 第三章 脳はゆらいで自由をつくりあげる
- 第四章 脳はノイズから生命を生み出す
本当は細かい目次の全てを記載したいぐらいなのだが、ぜひその詳細については手にとってパラパラと本書をめくりながら確認してみて欲しい。そのまま会計に向かうことになるかもしれないが…。
著者は脳科学の最先端にいる科学者だが、同時にその科学の楽しさ・不思議しさ・そして魅力を次世代に伝える伝道師としても超一流だ。「これは今週のニュートンに載っていた論文なんだけど…」という展開だけでも、高校生にとっては普通に過ごしていては出会うことのない刺激的な出来事だろう。科学は教科書に書かれているだけの知識としての学問ではなく、日々、科学者たちによって切り開かれて行っているフロンティアに繋がっている世界なのだということを体感するだけでも、きっと高校生にとっては一生を左右するような影響となるかもしれない。
本書最大の魅力は脳の不思議を解明する様々な実験や資料がこれでもか!というほど満載されていること。意識は脳が作り出したものなのか、そもそも脳で脳について考えるというパラドックスに向き合うためにも、実験によって誰もが理解できる結果から見えてくる世界は想像しえない、まさにフロンティアな世界だ。脳がいかに優れているのか、そして優れていながらも、いかに上手くあり合わせの仕組みを活用して複雑な処理を効率的に裁くことが出来るようになっているのか等、まさに読み始めると止まらない一冊だ。
脳を通じて世界を見ているということがもたらす面白さ。人はご都合主義の脳みそに振り回されながらも、以外と上手く情報を処理しているのだ!