どうなる次世代vSphere(2)

(1)の続きです。

vSphere 4.1は、8GバイトのFibre Channel HBAをサポートしたことで、Storage vMotionなどのほかの分野にも改善点が見られる。
VMware社のレポートによると、4GバイトのFC HBA比で50%のパフォーマンス改善(IOPS単位)があり、スループット利用量のパフォーマンスは5倍向上したという。
NFSストレージのサポートにも改善が見られ、CPUコストがリード/ライトで最大15%低下、スループット利用量は最大15%改善された。
iSCSIサポートも改善され、iSCSI TCP Offload Engine(TOE)ネットワークインターフェースカードが新たにサポートされた。
VMware社のレポートによると、パフォーマンスがCPUのリードコストで最大89%、ライトコストで83%向上したという。

iSCSIの改善については前回のエントリーでも書きましたが、FCにおいても8Gbps HBAのサポート、NFS I/O性能の改善と、それぞれI/O性能の改善が図られています。このタイミングで10GiB NICが急速に普及しつつあることが、今後のネットワークストレージプロトコルの市場にどのように影響することになるのかは興味深いところです。
ソフトウェアイニシエータを用いたiSCSINFSのメリットはソフトウェア的に制御されていることですが、この点は逆にデメリットでもあります。ハードウェア的な実装を中心としているFC、そしてFCoEという流れに対して、iSCSINFSを用いたソフトウェア的な実装を中心としているネットワークストレージアクセスはどの程度受け入れられ、ポジショニングとしてどういう棲み分けがなされることになるのか。エンタープライズ用途のNICにおけるiSCSI Offload Engineの実装とサポートなど、ハードウェア的な制御とソフトウェア的な制御の垣根は不明瞭になりつつあることもありますので、ソフトウェア的な実装=コストパフォーマンス重視の場合の選択肢、とは限らない状況になっていくのではないでしょうか。
Citrix XenServerがVMware ESXに対する優位性としてアピールしてきていた、APIレベルにおけるストレージ機能との連携についても、次世代vSphere4では巻き返しがされていくことになりそうです。
ストレージはI/Oプロトコルの部分以外では、各社独自性をアピールすることが可能なITハードウェアデバイスにおいて残されたフロンティアともいえるコンポーネントです。そしてVMwareも仮想化ソフトウェアとしてはどちらかというとプロプライエタリ的な部分の大きい製品です。そうしたプロプライエタリコンポーネント同士だからこそ、会社同士のパートナーシップとしての提携・共同開発が合意されれば比較的短期で連携機能が実装されることになることがメリットとなるわけで、この辺りについては方向性をまとめたり他のコンポーネントとの連携を実装ことに時間を要するオープンソース系のソフトウェアに対するプロプライエタリ製品の優位性の1つともいえるのかもしれません。