仮想デスクトップ製品評

Citrix XenDesktopとVMware Viewの両方をさわっていると、それぞれのよいところが見えてきます。細かい部分についてというよりもソフトウェア製品としての全体像に対する、現時点での個人的な総合評価です。製品の進化は早いので、きっと1年後には評価も変わっていくでしょうけれども。


Citrix XenDesktopのよいところは、XenAppで長年蓄積してきた技術を仮想デスクトップに拡張しているところでしょうか。管理ツール群は基本的に共通ですし、ユーザ側としてもOnline Plug-inやWeb Interfaceなどといったおなじみの?ツールを通じて仮想デスクトップに接続することができるようになっています。Citrixは最近、自社のコア技術をXenAppからXenDesktopに比重を移しつつあるように思えます。というか、XenAppもXenDesktopを構成するコア技術の1つというような扱いになってきています。ユーザエクスペリエンスという意味では、ユーザに対してデスクトップの配信もアプリケーションの配信もまったく同じやり方、同じ方法で提供するというやり方は正しいでしょう。そしてなんといってもCitrixといえばICA。MicrosoftがRDP7.0、VMwareがPCoIPと対抗する画面転送プロトコルをリリースしてきていますが、それでもまだまだICAの優位性は揺るがなさそうです。特に細いネットワーク環境における性能ではかなりの差があります。XenDesktop4ではHDXとして、ICAプロトコルに加えて可能な限りクライアント側で画像処理を行うことにより、さらにユーザ体感の向上を目指しています。


VMware Viewのよいところは、vSphere環境に強く結合しているところでしょうか。残念ながら管理ツールの統合までには至っていませんが、vCenterとView Managerの管理画面だけで管理ができる点はよいと思います。XenDesktopでは機能毎に管理ツールが分離してしまっていますが、VMware Viewは機能もシンプルな分、管理面はわかりやすくなっています。夏のVMworld2010にて発表されるのではないかと噂されるVMware View 4.5ではユーザプロファイル情報の管理機能や、オフラインデスクトップ実現のためには必要となるクライアント向けHypervisor、ThinAppの強化によるアプリケーション配信連携など色々な機能が追加・強化されてくることになりそうですが、管理ツールの面では統合されたシンプルさを維持して欲しいと思います。そうそう、以前紹介したようにオープンソース版としてLinuxに対応したVMware View Open Clientもありますね。

さて、1年後の評価はどう変わっているのでしょうか。楽しみですが、正直、追いかけるのもけっこう大変です(^_^;)。