デジタルブック版の100円キャンペーンに乗り遅れ(^_^;)、GWの新幹線のお供として1100円で購入。電子書籍のインパクトを伝える書籍をアナログに読むとは…。
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2010/04/15
- メディア: 新書
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本が電子化される世界。それは、私たちの「本を読む」「本を買う」「本を書く」という行為に、どのような影響をもたらし、どのような新しい世界を作り出すのか?
著者の強みはこの類の書籍を誰よりも早くまとめ上げるところにあると思います。本書の内容は多くのニュースやオンライン記事などで書かれていたものと大差ありませんが、一冊の書籍というパッケージにまとめ上げているということ自体にこそ価値があります。この点については、書籍のプラットフォームがどのような形態になろうとその価値がなくなることはないでしょう。
電子ブックリーダー市場はAmazonのKindleが圧倒的に優位な立場にありますが、なぜKindleはこれまで鳴かず飛ばずであった電子ブックリーダーという市場においてこれだけのヒットとなることができたのかという点から本書の解説は始まります。そしてiPadによりその市場に参戦しようとしているAppleとの戦いの展望など、したたかに、熾烈に市場を奪い合う各社の争いについて、わかりやすく説明がされています。
電子ブックリーダー市場は単に電子書籍のリーダー端末という製品におけるシェア争いではありません。iPod+iTunesによってAppleが音楽流通マーケットを劇的に変化させたように(そしてその市場における覇権を奪ったように)、電子ブックリーダー市場を抑えた企業の戦略は出版市場を劇的に変化させる可能性があります。
書籍はBlogのエントリーやオンライン記事とは性質が異なり、一冊のパッケージになっていることそのものに価値があります。著者から読者まで届ける出版流通の仕組みは、電子ブックリーダーの登場によって根本から覆される可能性を持っています。読者にとっての価値を提供することができる立場に立つのは誰か。書店の店頭でフラフラと並んでいる書籍を眺めることの価値も小さくはありません。電子書籍化の流れは間違いなく進んでいくことになると思いますが、電子書籍だけが書籍のプラットフォームとなるのかどうか。意外と早くその流れの行く末は見えてくることになるかもしれません。
iPad、今のところ私はまだ買うつもりはないのですが、みなさんはどうですか?