ネットワークの仮想化? - VNTag, VEPA, VEA ...

ネットワークにおける仮想化技術と言えばVLAN。もはや企業ネットワークにおいては必須の機能となっており、当たり前の機能として用いられています。そしてサーバ仮想化が本格的に普及し始めている現在、Ciscoが独自規格としてNexusシリーズに搭載を行っている新たな仮想化技術がのがVN-LinkテクノロジーEthernetフレームのレイヤーで仮想マシンの仮想NICと仮想ポートを紐づける独自拡張タグであるVNTag*1を組み入れることによって、仮想マシンごとの通信制御をVNTagを理解する外部の物理スイッチで行えるようにしてしまおうという仕組みです。これにより、VNTagを付けたEthernetフレームの処理をサーバ外で行える様にすることで、管理の一元化とサーバ負荷の低減*2を目的としています。

まだ現時点ではCisco独自の実装であることや、Ethernetフレームを拡張しているために専用アダプターと対応ネットワーク機器でEnd to Endでネットワーク環境を構成*3していないと使用できないことなどから普及には至っていませんが、今後標準化により規格化が進めば、一気に普及することになるでしょう。実装方式としては、CiscoのVNTag以外に、VEPA*4やVEA*5などの仕組みが提案されていますのでいくつかの仕様として標準化が進められる*6ことになると思いますが、いずれデファクトスタンダードのような仕様に落ち着いていくことになると思いますので、来年以降は仮想化においてもネットワークまわりが面白くなりそうです。
仮想マシンは物理的なネットワーク構成から切り離されている上にLive Migration技術などにより自由に実行環境を移動させることができます。各技術はポリシーの紐付けなどを通じて仮想マシンとネットワークの関係に柔軟性を確保するとともに管理の一元化が目指されています。より便利にはなると思いますが、より複雑化することも確かです。来年はおそらく、より深く仮想環境のネットワーク設計が必要になってくるでしょう。

*1:Virtual NIC Tag

*2:複雑な処理を専用機器であるネットワークス一致にまかせてしまうことによりCPU負荷を押さえる

*3:具体的には、仮想スイッチとしてNexus1000V、上位スイッチとしてNexus3000/5000シリーズを用いるような構成

*4:Virtual Ethernet Port Aggregator:vMACを用いて仮想スイッチにおける処理を物理スイッチに外田視できるようにしようという仕組み

*5:Virtual Ethernet Bridging:LANアダプタにおいて仮想スイッチの処理をしようという仕組み

*6:IEEE "Edge Virtual Bridging":802.1Qg、"Bridged Port Extention:802.1Qh"