10/3に第2版を買ったエントリーこのBlogで書いたら著者の一人である平さんからコメントを頂いてしまい、『読み終わった後の感想も聞きたい』とのことなので、ならばまずは読み物として全体を読んでから「使う」ことに。というわけで、感想編でございます。こちらとかこちらのようなことをしているどなたかのようなサイン目的ではございません…コメントを頂けただけで満足でございます(^_^;)。
- 作者: 宮本久仁男,平初,長谷川猛,津村彰
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2009/09/15
- メディア: 大型本
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ちなみに、こちらが第1版。
- 作者: 平初,長谷川猛,宮本久仁男,大島孝子
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2007/12/20
- メディア: 大型本
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3.0/3.1の時代であった2007年に対して、3.4の時代になっている2009年ではXen自体の機能もかなり充実してきていますし、XenServerの無償化によってXenに対する注目度も上がってきていますので、Xenそのものも洗練されてきていると思いますが、何よりも本書の著者陣が多少メンバーの入れ替えがありつつも、継続的にXenに取り組んできたことによって得た経験やノウハウの積み重ねがフィードバックされたことによって書籍としての完成度が高められている気がします。
翔泳社の徹底入門シリーズは「入門」とは銘打たれていますが、技術者向けの書籍として、それなりに深い内容までが網羅されているものが多く、読み応えがあります*1。また、VMwareやOpenVZなど、仮想化ソフトウェアに関して扱ったものが一通りそろっているのも魅力。1年後ぐらいには誰かKVMも書いてください(^_^;)*2。
- 作者: ヴイエムウェア株式会社
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2008/11/13
- メディア: 大型本
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OpenVZ徹底入門~バーチャルデータセンター構築完全ガイド
- 作者: 中島能和,里浜圭一
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2008/11/05
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そうしたなかで、Xenを扱った本書において第2版が出版されたのはとてもよいことだと思います*3。内容も大幅に改訂されており、現時点における状態がよくキャッチアップされています。
64bit環境での導入の推奨などXen環境構築のポイント、より充実した「仮想マシン環境構築」手順の解説、Xenの利点(というか汎用性?)の特徴でもある柔軟なストレージ・ネットワーク管理に関する情報のさらなる充実など、大幅な書き直しが行われており、完成度が高められています。そして本書をより実践的にしているのが、その後に追加されたセキュリティおよび小技集、さらにはリファレンス情報*4。これらの情報はXenをより実用的に使っていくためには欠かせない項目といえます。クローズドソースのエンタープライズ商用製品として、SIerやベンダーによる導入サービスなどが利用される場合の多いVMwareに対して、Xenはより幅広く、利用者自身が導入から行う場合も多いと思われますので、こうした情報がベンダー側のノウハウとしてだけでなく、こうして書籍として提供されることの価値はより大きいでしょう。
Xenの良いところは、完全にオープンソースとして提供されているXenと、無償製品として提供されているXenServerが存在している、という点です。XenServer利用者にとってはXenの開発がXenServerに反映されていく面もありますのでXenを知ることの価値は充分にありますし*5、XenServerによって鍛えられたよりエンタープライズ向けの機能や仕様がXen自体にもフィードバックされる部分もあります。
Xen自体はまだまだそれなりに敷居があるソフトウェアですし、XenServerであっても洗練され具合はまだまだな部分は多くありますが、本書のような書籍を通じて利用者の輪が広げられることによって製品はよりよいものとなり、利用者のメリットもより大きなものとなっていくはずです。
また2年後、第3版が刊行される頃(^_^;)*6にはXenははたしてどうなっているのでしょうか。
*1:この一連の書籍はオライリーほどディープではないですが、どちらかというとインフラよりの内容で、基礎的なものからある程度の深い情報までがまとめられていて役立ついいシリーズだと思います。
*3:VMwareもぜひ、vSphere4に対応して内容を大幅に改訂した第2版を出してもらいたいものです
*4:コマンドリファレンスだけを扱っていた第1版に対して、第2版ではさらにドメイン定義パラメータについてのリファレンスまでまとめられています
*5:その他Xenをベースとした各種仮想化製品の利用者であっても充分価値がありますし、VMwareなどを使っている方であっても仮想化を実現している技術や実装、違いなどを理解することは大切だと思います
*6:ぜひ、おねがいします