書評:『大恐慌時代 爆笑問題の日本原論6』爆笑問題/幻冬舎

爆笑問題の本は唯一購入するいわゆるタレント本。本書は久々の日本史原論シリーズ。

大恐慌時代―爆笑問題の日本原論〈6〉

大恐慌時代―爆笑問題の日本原論〈6〉

本書は「サイゾー」および「Will」に連載されたものをまとめたもの。基本的には時事ネタを漫才ネタに仕立てた数ページ単位の連載39本で1冊の書籍となっているのだが、どれもその時々において国内を賑わせていたニュースばかりがベースとなっている。ホリエモンふぞろいな秘密、ハニカミ王子、トリノ五輪、森進一、羽賀研二くまぇり、都知事選、北朝鮮核実験、ミートホープ居酒屋タクシー産地偽装…いずれもその時々においてあれだけ騒がれていた問題なのに、多くは遠い過去の出来事となっている。別にどうでもいいことも多いが、のど元過ぎれば…では困る件も多々含まれている。こうした機会に、こういう本を通じてだとしても、思い起こすきっかけとしてもいい機会かもしれない。
…なーんて書いてはみたけれども、このシリーズを買う理由は面白おかしく時事ネタ漫才を読んでニヤニヤしたいから。

田中 ー ここのところずっと問題となっているのが、朝青龍の話題から始まって、最悪なのが相撲界の話だよね。稽古中に弟子が死亡してしまった事件。
太田 ー あれはひどいね。"どつき親方"?
田中 ー "時津風"だよ! 確かにどついたってことで問題になっているけど。
太田 ー あのインタビューもひどいよな。本人は「ビール瓶でちょっと小突いただけ」なんて言ってて、何が問題なのか全くわかっていないよな。ちょっとだろうが、何だろうが、ビール瓶で人を小突いちゃダメだろ!
田中 ー 確かにそうだね。
太田 ー ああいう奴はそのうち、「いや、ナイフの先でちょっと刺しただけなんです」とか言い出すぜ。
田中 ー 怖いよ!
太田 ー あるいは「ゆっくり刺したんです」とかな。
田中 ー ゆっくりでも死ぬよ!今回の事件で明るみに出たのが、相撲界の古い習慣とも言える"かわいがり"ね。力士にとっては指導だっていうんだけど、素人の我々からみたら集団リンチともとれなくはないからね。

笑って読めるネタ文ではあるのだけれども、ここにはとても重要な、時事問題に対しての見方、考え方が含まれている。楽しんで読みつつ、ちょっと考えてみることができる、その絶妙さがこのシリーズの魅力なのかもしれない。