OSはアプリケーション化するのか?

まだどれだけ一般化するかは未知数ですが、今年後半からXenDesktopやVMwareView向けのクライアント側Hypervisorが投入されてくる見込みです。CitrixやVMware自身がクライアント端末を作成しているわけではありませんので、各PCベンダーに対してOEM提供する形態となると思われますが、どのような動きとなっていくのか、楽しみではあります。
VMwareがvSphereに全力投球してVMwareViewが少々おざなりになっている間隙をついて?、CitrixがXenClientのPRを行っています。

続いて説明されたのがXenClient。クライアント向けのハイパーバイザー型仮想化ソフトだ。これまでのクライアント仮想化は、動作しているOSの上に仮想化ソフトをインストールするホスト型が主流だった。これに対してXenClientでは、サーバー仮想化と同様に、ハイパーバイザーの上に複数の仮想環境が構築できるようになっているのが特徴。特に「Mobile Worker」と同社が定義する、ノートPCを外へ持ち出して使うユーザーに最適な製品という。

各仮想環境に対し、管理者がイメージを作成して一斉にパブリッシュすることが可能。一度パブリッシュを行ってしまえば、必要な機能がローカルで動作し、イメージに変更を加えた際は、再度ネットワークにつながった時点でクライアントに反映される。この同期を逆方向で利用すれば、容易にデータのバックアップも可能で、PC上のデータを常にデータセンターに保管しておくことができるという。「万が一、ノートPCを紛失しても、XenDesktopを使えば、すぐさま保管されたデータにアクセスすることが可能だ」(同氏)。

http://enterprise.watch.impress.co.jp/docs/news/20090610_283083.html
個人環境ではHypervisor型の仮想環境はあまりいらないかと思いますが、ビジネス用途と個人用とを使い分けるなど、ビジネス用PCとしては様々なメリットがあるだけに、性能や信頼性さえ認められればかなり広く受け入れられることになりそうな気もします。

XenClientとは,社員が日常業務に使うノートPC上で動作する,ベアメタル型のハイパーバイザ(仮想マシン・ソフト)である。この製品の狙いは,情報システム部門によって設定/管理された業務遂行用の仮想クライアントPCを,物理ハードウエアを問わずに動作させること。社員に対してノート PCや個人OS環境をカスタマイズする自由を与えつつ,業務の遂行用には従来通りの管理された環境をあてがうことができる。
1台のノートPC上で,ユーザーがカスタマイズした個人用の仮想マシンと,情報システム部門が配布した業務用の仮想マシンを同居させられる。両者の環境を切り替えて利用できるほか,普段は個人用のデスクトップ画面を表示させながら,業務用の仮想マシンで動作する業務アプリケーションを個人用の仮想マシンの画面上にマージして表示することも可能だ。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090610/331655/
端末自体の管理という意味もあり、中規模以上の企業の場合は企業側が社員の使用する端末を支給するという形態は変わらなそうな気がしますが、小規模な企業の場合は個人端末をビジネス用途にも使うことが多いと思いますので、「簡単に使えるのであれば」こうしたニーズには受け入れられていきそうです。中・大規模企業の場合であってもセキュリティリスクの低減や最新データのバックアップなどの視点からクライアントHypervisorのニーズは少なくないでしょう。

XenClientは、既存OS上に仮想化環境を後からインストールする方式と異なり、最初からハイパーバイザを搭載するため、セキュリティ上も有利だという。キーロガールートキットなど、システムレベルでセキュリティレベルの低下につながることがない。
XenClientでは利便性のため、2つのOSを切り替えて使うだけでなく、デスクトップ上に、別のゲストOSで稼働するアプリケーションをウィンドウ単体で呼び出す機能も持つ。このときも、スクリーンキャプチャの取得やキー操作イベントは取得はできないという。

http://www.atmarkit.co.jp/news/200906/10/xen.html
実機デモも行っており、既にXenClientの完成度はそれなりのレベルに達していそう。HDDを暗号化するようなツールを使うとOSの動作がどうしても緩慢になる問題がありますが、HypervisorレイヤーでゲストOSファイルを暗号化してしまえるのであればかなり良さそうな気がします。
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/06/12/007/
http://www.computerworld.jp/topics/vt/150189.html
VMwareも当然対向してくると思われますので、今後PCベンダーを巻き込んでどのような争いが繰り広げられていくのか、楽しみ半分、苦労する予感半分です。