家づくり中ということもあって、最近は個人住宅ばかり注目していたのだが、高層建築は同じ建物でも一般的な家とはまったく異なる性格と技術志向を持っていて面白い。
- 作者: 高橋俊介
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2008/10/16
- メディア: 新書
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人工衛星の軌道上から目視できる人工物は万里の長城だといわれますが、すでに人類は800mを超える超超高層ビルを建造するまでになっています。わが国初の超高層ビルである霞ヶ関ビルから40年、世界一の最長橋、明石海峡大橋から10年が経過するいま、国内外の巨大高層建築に投入された技術を振り返り、さまざまなエピソードとともに、人類が工夫・改良してきた歴史の謎をひもといてみましょう。
高層建築はその巨大さと高さゆえに、小さな建築物とは全く異なる世界だ。そもそもどう作るのか、何で作るのか、どういう技術が使われているのかというところから始まって、耐震・免震・制震技術、風・雷・火災などへの備えなどはとても興味深い。あまりにも巨大であるが故に押しのけた土によって浮力が働いてしまう話などはあまりにも規模が大きな話でイメージしづらくはあるのだが、巨大建築物であるが故のこうした話題が本書には満載だ。
おもりや振り子、水槽などを使ってビルの揺れを押さえる技術は超高層ビルであるが故であり、個人邸宅レベルではまったく必要性のない技術なのでなかなか興味深い。振り子式のダンパーなどは、多くのビルでは一般の人の目からは見えない箇所に据え付けられているが、逆に誰でも見えるように設置している台湾の台北101などもなかなか面白い試みだと思う。ぜひ見てみたい。
後半の巨大建築物の歴史的な話も興味深かった。卑弥呼よりも古い時代に造られたローマのコロッセウムの大きさが東京ドームとほぼ同じぐらいの大きさがあるとは知らなかった。
その巨大さ故に一般的ではないが、なぜか巨大なものや高層なものに人は惹かれる。800mを超えるブルジュ・ドバイなど、そこまで高くする必要あるの?と思わずにはいられない面はあるのだが、きっと今後も人はより高い建物を建てようとするのだろう。
まさに、バベルの塔だ(^_^;)。