PowerPath/VE

EMCがvSphere4.0向けおよびHyper-V用ののマルチパス管理ツール・ドライバである"PowerPath/VE"が発表されました。他のストレージベンダーからも続いて各ストレージ用として同様のモジュールの提供が行われていくことになると思われます。

EMC PowerPath/VEでは、PowerPath Multipathing機能を提供して、VMware vSphereおよびMicrosoft Server 2008 Hyper-V仮想環境を最適化します。PowerPath/VEにより、異機種が混在する物理および仮想環境にわたるパス管理を標準化できます。また、動的な仮想環境でサーバ、ストレージ、パスの使用率を自動的に最適化できます。これにより、高度な統合環境で、数百または数千に及ぶ仮想マシン、および I/O集中型アプリケーションに対して手動でロード・バランシングを行う必要がなくなります。

http://japan.emc.com/products/detail/software/powerpath-ve.htm
VMware Infrastructure 3ではESX Serverが標準で提供するドライバのみが使用可能であり、かつマルチパス制御方式としてもストレージのコントローラ動作モデルに基づいたFixed / MRUのみの選択として事実上選択肢はありませんでしたが、vSphre4からは標準提供のマルチパス制御方式にラウンドロビンが正式サポートとして追加され、さらにストレージベンダーから提供される最適化されたドライバツールを使用することも可能になることになります。

ストレージに最適化されたドライバツールを使用することのメリットは色々とありますが、中でもダイナミックロードバランシングとパス障害の自動検出は非常に期待したいところ。統合ストレージの場合、仮想化サーバ意外のWindowsLinuxサーバも接続する場合が多くありますので、そうしたヘテロな環境においても全ての接続ノードにおいて同様に動作するマルチパスドライバツールが組みこまれていれば障害対応もやりやすくなるのではないかと思われます。ただ、今後は"PowerPath/VE"アリの場合とナシの場合の2通りのパターンが生まれるわけで、どのような場合にどうするべきなのかについては暫く情報が錯綜してしまいそうな気もしますが…。

EMCジャパンは2009年5月18日、ストレージ管理ソフトの新版「PowerPath/VE」を発表した。サーバー上で動作するミドルウエアで、ストレージの負荷分散と障害時の切り替えを管理する。新版ではヴイエムウェアのサーバー仮想化ソフト「vSphere 4」に対応すると同時に、仮想マシン単位でのストレージへのアクセス経路制御を可能にした。本日から販売を開始する。価格は1CPU当たり30万円弱。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090518/330137/
…ただ期待が大きかっただけにこの価格設定はちょっと残念。1CPU30万円だとすると、多くの場合は2CPUもしくは4CPUのサーバが仮想化インフラとして使用されると思うので、それだけでも+60万円もしくは+120万円。そもそも3rd Partyマルチパスドライバが使用できるのはvSphere4のエディションの中で最もハイエンドであるEnterprise Plusのみなので、ESXホスト1台のコストは非常に上がってしまうことになります。
とはいえ、非常に重要なシステムを構成するサーバの仮想化環境への移行も次第に行われつつありますので、さらなる可用性・パフォーマンスを確保する方式としてPowerPath/VEのような選択肢が増えることはよいことだと思います。