書評:『スカイ・イクリプス Sky Eclipse』森博嗣/中公文庫

2008/4〜5に書けて書評をUpしたスカイ・クロラシリーズの番外編、というか追加短編集。

スカイ・イクリプス―Sky Eclipse (中公文庫)

スカイ・イクリプス―Sky Eclipse (中公文庫)

スカイ・クロラシリーズをストーリー展開の順に書評を並べると以下の通り。最初に刊行された『スカイ/クロラ』がストーリー的には最終巻になるのでせっかく全巻が文庫化された現在、これから読み始めるのであればストーリー展開の順序に読む方がよいのかもしれない。

スカイ・クロラ (中公文庫)クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life (中公文庫)ダウン・ツ・ヘヴン (中公文庫)ナ・バ・テア (中公文庫)
シリーズものの作品の奥行きを深める要素として、こうした短編集は重要だ。本筋のストーリー展開とは直接的に関係のないちょっとした一言の裏側にある世界観の破片1つ1つが短編として欠片になっている。本編の中で登場人物が語ったり、意味ありげでありながらそのままになっていた出来事などの小さなストーリー。そういう意味で、スカイ・クロラシリーズの世界観をより理解するためにはもう一度読む必要があるかもしれない。少なくとも映像化されたスカイ・クロラでは描き切れていない、また別の世界観を持ったスカイ・クロラワールドの本家の姿がここにある。
単純に短編集として楽しむこともできるが、やはり本編とのつながりや世界を探るという方向性も持って読むとより楽しめるのではないかと思う。