書評:『理性の限界〜不可能性・不確実性・不完全性』高橋昌一郎/講談社現代新書1948

とても面白かったのだが、新書1冊にまとめるにはあまりにも幅広く・奥深いテーマを扱っているがゆえに読み終えてもまだすっきりはしない…。しかし哲学に興味がない私でもこうした主義・主張を超えた議論のようなかたちで展開されている本書であればそれぞれの立場の考え方が見えてきて興味深く読むことができた。

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)

個人的には選択、科学の限界についてのテーマは面白かったのだが、知識の限界についてはかなり哲学的で難しく理解できないぶぶんもあった。とはいえ、各主義・主張の論者がシンポジウムで議論を展開する形式をとって書かれている本書はそれぞれの対立・視点がわかりやすくなっていてよかった。「その話はまた別の機会に…」と言われ続けるカント主義者はかわいそうですらありますが(^_^;)。