Client Hypervisorは本命?

x86においては長いこと仮想化はClient向けのオモチャ的な扱いとされてきていたが、Hypervisor型の仮想化製品が登場したことによりサーバ用途としてブレイクスルーした。当初の想定外?にまずサーバ用途として仮想化が受け入れられた理由はインフラとして最も管理されたシステムであったからだろう。サーバはその名の通りサービスを提供できてさえいればクライアントであるユーザにとってはその実体が物理サーバであっても仮想サーバであってもいいわけで、システムとしての独立性の確保とインフラの集約を実現する仮想化はもってこいの技術といえた。このあたりについては、2008/10/8にこちらで書いている
クライアント仮想化が難しい理由は色々あるが、その最大の理由はユーザが直接さわるインターフェイスそのものであることだろう。少しややこしかったり、直感的ではない手順が必要だったりすることは受け入れられない。また、お世話が必要であったり修正パッチなどの運用メンテナンスが必要になることもできる限り避けたいところだ。そんなクライアント仮想化のブレイクスルーになる切り口となりうると思われるのがサーバの場合と同様、"Hypervisor"だ。

Intel社は、VMware社と競合するCitrix社と本格的なビジネスに乗り出そうとしているのだ。
両社は先週の金曜日、デスクトップやノートPCといった消費者向け機器バージョン(業界でクライアントハイパーバイザーなどと呼ばれるバージョン)のXenを共同開発すると発表した。
もちろん、同製品はコンシューマー市場向けではなく、膨大な数のクライアントを抱える大企業向けとして開発される。このような理由から、Citrix社と Intel社では新しいハイパーバイザーと一緒に、ハイパーバイザーの配信をコントロールする集中管理システム、基盤ハードウェア上で動作する配信メカニズム、そしてすべての仮想マシンに細かいアクセスコントロールポリシーを適用するセキュリティラッパも投入する。
このプラットフォームは全体が「Intel vPro」技術に最適化されている。

http://www.virtualization.info/jp/2009/01/citrixintel20090120-2.html


ハードウェアレベルでネイティブにHypervisorを搭載すればクライアントにおける仮想化はいっきに普及し始める可能性がある。そのポジションをどの仮想化製品が握るのか。Intelと組んだCitrixはVMwareを逆転しうる大きな期待を抱いているだろう。クライアント側のHypervisorでデファクトスタンダードのポジションを確保すれば、その勢いをサーバ側のHypervisorにも影響を与えることができる可能性がある。サーバとクライアント、その全体を仮想化して管理ツールまでを押さえればMicrosoftに続く新しい時代のインフラソフトウェアレイヤーの覇権を握ることができる。

Citrix社の「Project Independence」とPhoenix Technologies社の「HyperCore」はいずれもXenベースのクライアントハイパーバイザーだが、前者がエンタープライズ市場の最もハイエンドの部分に対応する完全なVDIプラットフォームの一部となっている一方で、後者はコンシューマー市場やSMBをターゲットにしているようだ。

http://www.virtualization.info/jp/2009/01/phoenix-technologieshypercoreasus200901.html
クライアント仮想化はBIOSベンダーなどを含めて大混戦の様相だ。いずれかのベンダーが制覇するのか、様々なベンダーが入り乱れた状態のままとなるのか…。ソフトウェアベンダーもハードウェアベンダーも巻き込んで水面下の競争は熾烈だ。