書評:『イノセント・ゲリラの祝祭』海堂尊/宝島社

正月読書シリーズ最終回(^_^;)。

イノセント・ゲリラの祝祭

イノセント・ゲリラの祝祭

田口・白鳥シリーズ最新作。これが読みたかった故に『ジェネラル・ルージュの凱旋』を読んだといっても過言ではないかもしれない。

  • 第一部 回廊の迷い人
    • 序章 賢人と街人
    • 1章 神々の楽園
    • 2章 降りかかった災厄
    • 3章 廊下トンビの献身
    • 4章 がんがんトンネル魔神の講釈
    • 5章 臨席のストレンジャー
    • 6章 厚生労働省の歩き方
    • 7章 『モデル事業』の落日
    • 8章 上州大学法医学教室教授・西郷綱吉
    • 9章 ミスター厚生労働省・八神直道
    • 10章 国策論争
    • 11章 ひねくれ彦根
    • 12章 火喰い鳥の暗躍
    • 13章 泣き虫医政局長・坂田寛平
    • 14章 静かなる顔合わせ
    • 15章 無声狂犬(サイレント・マッドドック)
    • 16章 過去の残像
    • 17章 ハンブルグのヴォルフガング(狼)
    • 18章 ミラージュ・シオンの帰還
  • 第二部 イノセント・ゲリラの咆哮
    • 19章 火喰い鳥の退場
    • 20章 警察医・デッドエンド
    • 21章 プリンス高嶺
    • 22章 遠来の旧友
    • 23章 フィクサー・ヒコネ
    • 24章 田口、奮闘す
    • 25章 ヒコネ・ホーミング
    • 26章 ミスター厚生労働省・八神の背信
    • 27章 霞ヶ関の月旦
    • 28章 欧州からの突風(ダウンバースト)
    • 29章 死因究明事務所
    • 30章 姿を見せないヒロイン
    • 31章 破壊神降臨
    • 32章 司法と医療の分離をめざして
    • 33章 イノセント・ゲリラの咆哮
    • 34章 火喰い鳥の飛翔
    • 終章 海風の行方

この作品はついに桜宮を飛び出して医療ミステリーの本丸?厚生労働省が主な舞台。テーマも医療現場から離れて著者最大の拘りAIをがんじがらめにする行政・司法などの分野に土俵を大きく移している。
本作では誰も死なない。そういう意味で、ミステリーの枠からはちょっと外れているのかもしれないが、本書はこれからさらに桜宮サーガが面白く展開してきそうな種(登場人物・サイドストーリーなど)が数多くまかれており、今後どのようなストーリーが数多く展開されていくことになるのか、楽しみになる。
最後に一つだけ助言。著者の執筆順序とは異なるが、少なくとも本作まで読み終えてからブルーバックス『死因不明社会』は読んだ方が各作品をシンプルに楽しめることになるだろう。