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日経BPのMOOK『すべてわかる仮想化大全2009』が発売されましたね。ほとんどHPとNTTdataのPR雑誌みたいになっているのはまぁいいんですけど…。

すべてわかる仮想化大全2009 (日経BPムック)

すべてわかる仮想化大全2009 (日経BPムック)

ただ、本書にもあるとおり、サーバの仮想化はもはや当たり前、続いてクライアントの仮想化が本格的に動き出す予感があります。
考えてみると、まずはサーバが仮想化され、そしてクライアントへと広がっていくというアプローチはこれまでとは真逆ですが、これがあるべき流れといえるような気が最近しています。
サーバはバックエンドでITを支えるシステムです。ゆえに、完全にIT管理者が管理しており、ユーザはサーバが提供する機能のアウトプットとしてのウェブ画面やメールの送受信といった「サービス」だけを認識しています。そのため、ユーザから見えるサービスレベルさえ維持できるのであれば多少手間暇をかけたとしてもコストを削減できたり運用の柔軟性を得られるのであれば、IT管理者は仮想化を検討し、取り組み始めます。ユーザとの調整はほとんど必要なく、自身が管理しているシステムを構成するサーバが対象となるという点も手がつけやすい部分といえるでしょう。
対して、クライアントは完全に各ユーザのものです。ユーザのニーズはそれこそ千差万別で、ヘビーユーザもいれば提携ワークにしかクライアント端末を使用しないというユーザもいるでしょう。また、クライアントに対する変更はユーザから直接見える形で変化が発生するため、IT管理者にとっても失敗は許されませんし、全社的につるし上げられないためにも?万全の準備と仮想化環境に移行することに対する充分な説得が求められます。そんなわけで、サーバの仮想化によって充分に仮想化のメリットや運用のキモを理解したIT管理者がやっと目を向ける存在が「クライアントの仮想化」といえるかもしれません。
そしてそのさらに先にあると私が考えるのがアプリケーションの仮想化です。仮想化されたクライアントは標準化された環境となっています。提携ワークのみにクライアント端末を使用するのであればそれでかまわないかもしれませんが、やはりユーザはそれぞれに必要とするアプリケーションやストレージサイズ、パフォーマンス要件などが異なります。そうしたカスタマイズを「仮想化によって標準化されたクライアント環境」と矛盾することなく実現するには、やはりクライアント環境を直接的に変更することなくアプリケーションやカスタマイズを提供するアプリケーションの仮想化を組み合わせて使用することのメリットが見いだされていくのではないかと考えています。
サーバ、クライアント、アプリケーションの全てが仮想化され、社内のITインフラがまさにオンデマンド、組み合わせるかのように提供されるようになり、提供される環境が充分ユーザの本来のワークの推進になんら不都合がない状態。これこそ仮想化が目指す方向であり、そう遠くない将来に実現したいと考えている状況なのかもしれません。