書評:『勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力〜ビジネス思考法の基本と実践』勝間和代/ディスカヴァー21

「私が、何をどのように考えているのか、読者のみなさんが何を身につければ、同じことができるのか、再現性のある方法としてこの本にまとめてみました。」

…とのこと。そう簡単には同じことはできないとも思うけど…。

本書の価値の1/3ぐらいは目次にある。本当はここまで完全な形で目次を紹介するのは手間がかかるので大変なのだけれども(^_^;)、最後の段階まで書かないとその価値はないので、書く。

  • 第1章 「ビジネス思考力」を定義する!
    • 「ビジネス思考力」を定義する!
      1. ビジネスの場を中心として
      2. 限られた情報と限られた時間の中で
      3. より適切な推論・判断を行い
      4. より適切な行動を起こすことで
      5. より高い付加価値を生み出す能力
    • なぜ今、「ビジネス思考力」が必要なのか
      • ベストセラーに見る労働環境の変化と市場のニーズ
      • 教えて君」から脱却しよう!
    • 思考の六つの段階
      • ブルーム博士の思考の六段階モデル
      • 知識のレベルで思考を止めない!
    • ビジネス思考力をつけることで得られる五つの果実
      1. 将来の予測可能性が高まる
      2. リスク管理ができるようになる
      3. 新しい行動がとりやすくなる
      4. より恵まれた仕事に就ける
      5. ムダな作業を削減できる
    • ビジネス思考力はコツさえわかれば、日常生活で習得が可能
  • 第2章 ビジネス思考の基礎となる7+1の力
  • 第3章 一つめの力 論理思考力 Logical Thinking
    • 論理思考力をわかりやすくいうと
    • 論理思考力を身につけるための三つの基本テクニック
      1. MECEに分類するクセをつける
      2. ピラミッド・ストラクチャーで展開する
      3. すべての思考を仮説からスタートさせる
    • 論理思考力を身につけるための四つの実践方法
      1. 日常の業務に即した練習問題をひたすらやってみる
      2. 論理パズルをすき間時間にせっせと解くクセをつける
      3. 日々、原因と結果を考えるときに「なぜ五回」を繰り返す
      4. 日常的に観察から仮説をつくる習慣をつける
    • とはいえ、「あと知恵バイアス」には注意!
  • 第4章 二つめの力 水平思考力 Lateral Thinking
    • 水平思考力をわかりやすくいうと
      • デボノの有名な問題
      • 想定した範囲以外から解を出す
    • 水平思考力を身につけるための三つの基本テクニック
      1. 自分が無意識に使ってしまっている前提を疑う
      2. ものごとに対する新しい見方を積極的に導入する
      3. 一見別々のものを、積極的に組み合わせてみる
    • 水平思考力を身につけるための四つの実践方法
      1. 種になりそうなアイデアの量をとにかく増やしてみる
      2. 出てきたアイデアは、なるべく早く市場で試してみる
      3. イデアがうまくいかないときにこそ、失敗から学んで早く修正する
      4. 他の人とのかかわりの中でアイデアを醸成する
  • 第5章 三つめの力 視覚化力 Visualization
    • 視覚化力をわかりやすくいうと
    • 視覚化力を身につけるための三つの基本テクニック
      1. 画像が持つパワーを理解し、効率的な情報処理方法として活用する
      2. 「デザイン」の力と意味を身につける
      3. 画像と文字の情報を組み合わせ、相互の活性化につなげる
    • 視覚化力を身につけるための四つの実践方法
      1. フォトリーディングマインドマップをマスターする
      2. イメージ・ストリーミングを慣習的に行う
      3. イラスト・図表をつねに意識して使うクセをつける
      4. 睡眠を十分にとり、夢を活用する
  • 第6章 数字力 Numerical Thinking
    • 数字力をわかりやすくいうと
      • 画像の対極、数字の世界
      • 数字は、正確な情報共有のためのもの
      • 数字を組み合わせる力は創造性につながる
    • 数字力を身につけるための三つの基本テクニック
      1. 数字の意味を知る
      2. 数字に分解する
      3. 統計を読む
    • 数字力を身につけるための四つの実践方法
      1. 政府発表や世論調査、企業データなどの数字を見る習慣をつける
      2. 身の回りのわかっている数字を記録する
      3. 数字から仮説をつくる
      4. 数字を使って人に説明してみる
  • 第7章 五つめの力 言語力 Language Capability
    • 言語力をわかりやすくいうと
      • 言葉は実は非常に高度なテクニック
    • 言語力を身につけるための三つの基本テクニック
      1. なるべく多くの知識・説明を知る
      2. 言葉に落とす習慣をつける
      3. 比喩を意識する
    • 言語力を身につけるための四つの実践方法
      1. 読書・読書・読書
      2. 話す時間・書く時間の質量を高める
      3. 辞書を引き、検索するクセをつける
      4. ブログで訓練する
  • 第8章 六つめの力 知的体力 Mind-Body Correlation
    • 思考と実行をつなぐ「評価」のフレームワーク
    • 知的体力をわかりやすくいうと
      • 「多重知性理論」(マルチプル・インテリジェンス)
      • 心は身体の中にある?
    • 知的体力を身につけるための三つの基本テクニック
      1. 身体と頭の関係を理解する
      2. 健全な精神が発想を生む
      3. 食べ物と知力の関係を理解する
    • 知的体力を身につけるための四つの実践方法
      1. ブレインジムの体操を行う
      2. 聴覚、触覚、味覚、嗅覚を鍛える
      3. 三毒を追放する
      4. 身体にいいものを中心に生活する
  • 第9章 七つ目の力 偶然力 Serendipity
    • 偶然力をわかりやすくいうと
    • 偶然力を身につけるための三つの基本テクニック
      1. 偶然のチャンスを生かす
      2. 与えられた情報の中からつながりを見つける
      3. 失敗、批判を素直に吸収して、無理に格好つけない
    • 偶然力を身につけるための四つの実践方法
      1. よいチャンクを集める
      2. つねに観察しつづける
      3. 魅力的な人に会う
      4. つねに周りをポジティブな視点で見る

簡単にできることではない。しかし、"フレームワーク"という考え方にまとめられることによって、体系化された思考法が1冊にみごとにまとめられている。著者の本が支持されるのは、このようにフレームワークに基づいているからだろう。支持されないビジネス本の多くは、フレームワークではなく本人の成功体験に基づいてしまっているが故に、単なる成功例の紹介に終始してしまったり、ひどい例だと押しつけ的な文章になってしまっていて、ちっとも「再現性」という意味での価値がなかったりする。
本書の内容については目次の紹介以上に説明は必要ないだろう。思考法をまとめる思考を得るベースとして、本書のフレームワークを紹介するのが最も良いだろうから。