書評:『工学部・水柿助教授の日常 The Ordinary of Dr.Mizukaki』森博嗣/幻冬舎文庫

エッセイ?自伝?いや、小説です(^_^;)。たぶん。

(いつもはAmazonリンクなのだけれども、どうもアクセス集中とのことなのでたまには楽天ブックスで)

水柿小次郎三十三歳。後に小説家となるが、いまはまだN大学工学部助教授。専門は建築学科の建築材料。よく独身と間違われるが、二歳年下のミステリィ好きの奥さんがいる。彼はいつしか自分の周囲のささやかな不思議を妻に披露するようになっていた。きょうもまた、あれが消え、これが不可解、そいつは変だ、誰か何とかしろ!と謎は謎を呼んで……。

森博嗣入門書ではない。というか、きっと森博嗣を初めて読む人が本作品を読むとちょっと誤解してしまうかもしれない。ある意味で、正しい理解ができるのかもしれないが、それはあまりいいことではないというか…。うーん、とりあえず、S&Mシリーズぐらいは読破してから手を付けるべし。
ただ、ある意味で本作は貴重。小説という形をとっていて、エッセイでも自伝でもないのだけれども、本作を通じて読者は森博嗣という人間が考えていることを小説よりもより一歩踏み込んで感じることができる。「あぁ、こういう人だからああいう作品が生まれたのだな」と素直に理解ができるようになれば、あなたも立派な森博嗣フリーク(^_^;)。