どこまで差別化するか〜メリットだけでなくデメリットも考慮すべき

サーバインフラまわりにおける現在のトレンドといえば仮想化。誰も彼もVirtualization。ここ数日ではESXiのプリインストールモデルの話題で色々と盛り上がっています。で、今日の話題はそうした状況に置ける差別化要素について。
たとえばVMwareのESXiを搭載したサーバ。ここ数日で多くのハードウェアベンダーから一斉にリリースされています。どのメーカーのサーバを選択してもその上で動作する仮想化レイヤーソフトウェアはVMware ESXiなわけです。違う弁当箱に同じメニューのおかずを入れているようなもので、各ベンダーとも多少の独自機能によって独自色を出すべく努力をしていますが、メインのおかずはどの弁当箱も一緒。IAサーバという存在自体がすでに共通のパーツから構成されているのですから、いってみればご飯や副菜も限りなくほとんど同じ。米もササニシキコシヒカリかといった程度といってしまってもよいかもしれません。
ハードウェア面で差別化できないのであればソフトウェア面やライセンス形態、サポートなどの要素で独自色を出すしかありません。ライセンスは自社で完全に管理できる部分ではないので、ちょっと差別化要素とするには難しいところ。ということで、差別化要素としてよく打ち出されるのがちょっとした「かゆいところに手が届く」機能拡張を提供してくれるソフトウェアなわけです。
特にハードウェアベンダーという面を持ちながらも、同時にかなり大きなソフトウェアベンダーでもあるIBMとHPはそうしたソフトウェアを抱き合わせるのが大好き(NECFujitsuといった国内ベンダーはさらに独自ワールドなソフトウェアで差別化していますね)。逆にほとんど独自ソフトウェアを開発していないDellは、MicrosoftNRIなどと組んで独自色を打ち出そうと模索するといったパターンになります。
そうしたソフトウェアによる差別化はセールスポイントとしてはアピールしやすいポイントになります。そりゃそうです、他のベンダーとは「明らかに」違う機能を提供できるわけですから、「どちらでもいい」と考えている顧客に決断させるためには、ちょっとでも振り子をこちらに傾けさせるきっかけとして重要な要素となりうるわけですから。
が、しかし。たしかにそうした差別化要素としてちょっとした便利機能を提供してくれるソフトウェアを使用することは全然かまわないと思うのですが、そこに依存してはいけないといいたい。その機能があることを前提としてシステム全体を設計してしまった場合、その機能はもはやなくてはならない要素となってしまうわけです。今は良くても、将来においてメインのおかずがバージョンアップしようとしてもその機能が対応しないがためにバージョンアップできないなどといった問題が発生しないとも限りません。今、ちょっとしたメリットを選択したが故に将来において大きなデメリットを背負い込んでしまうのは本末転倒です。
ということで皆様、システムの選択はじっくりご検討くださいませ。
(5/9追記):別にどのベンダーのやり方がいい、といっているわけではなくて、どのベンダーも色々なやり方で差別化させようと競い合って提案してきますが、それらを採用するとしても、そこに依存してしまうと将来において組み合わせの問題が発生する可能性があることまでちゃんと考慮に入れて検討した方がいいよ、ということをいいたいわけです、はい。