ESXi 3.5 Pre-install Model

VMwareのThin-Hypervisor型仮想化レイヤーソフトウェアをアプライアンスモデルのように搭載するサーバが各ハードウェアベンダーからリリースされだしています。VMwareが待ち望んでいた、インストール設定段階の壁を取り払う新しいタイプの仮想化製品です。今後、XenServerやHyper-Vなども同様の道をたどることになるでしょう。

ESXiはこれまでのESXと異なり、Service ConsoleとしてのLinuxを「明らかには」搭載しません(実際には非常に小さなカスタマイズLinux"BusyBox"を含む様ですが)。ESX3.5までの全てのESXはService ConsoleとしてRHELVMwareが独自にカスタマイズしたLinuxを含んでいました。Service ConsoleはbushのShellや多くのパッケージを含むほぼ完全なLinuxディストリビューションであり、RPMパッケージを用いて様々なソフトウェアをインストールして使用することが可能でした。対して、ESXiでは基本的にCLIインターフェイスすら用意されておらず、追加アプリケーションをインストールすることなどはできない仕様になっています。外部に開かれたインターフェイスはRemoteCLIに限定されており、仮想化レイヤーのセキュリティを向上させることを可能としています。
現在の最新バージョンである3.5ではこれまでどおりService Consoleを搭載するESXと新しいタイプのESXiが並列で存在している状況ですが、VMwareは明らかにESXi型のタイプを将来像として描いています。唯一の問題点はやはり、3rdパーティのアプリケーションが導入できないという点です。バックアップソフトウェアのエージェントモジュールや、ハードウェアやシステムの監視ツール、UPSとの通信ソフトウェアなど、これまでESXでも使用することができていた各アプリケーションはESXiでは使用できません。この点については今後の課題であり、セキュリティを確保するという面と柔軟性という面で、どういった妥協点にたどり着くのか、バージョン4に向けて議論が展開されそうです。
「インストールが必要なくなった」ことにより、ESX導入のハードルは1つ取り除かれることになりましたが、それでもネットワーク構成や外部ストレージとの接続構成などといった設計が不要になるわけではありません。しかし、そうした設計はWindowsLinuxなどのこれまで広く使用されてきた一般的なOSにおいても必要なものであり、一歩ずつ仮想化レイヤーも一般化するためのステップを歩んでいる段階であるといえます。
仮想化製品は今後、さらに一般化していくと思われます。仮想化製品の市場は急速に拡大しています。ESXiによって仮想化が中小企業にまで広がっていくのかが試されることになりますが、Pre-install Modelは市場拡大のために必要なステップといえるでしょう。