書評:『夢・出逢い・魔性 You May Die in My Show』森博嗣/講談社文庫

タイトルも、内容も、いい出来。満足。

夢・出逢い・魔性 (講談社文庫)

夢・出逢い・魔性 (講談社文庫)

Vシリーズ第4弾。久々に素直にミステリィとして読み応えのあった作品。Vシリーズの主要なキャラクターの個性も十分に活かされており、小説として映像的に十分楽しむことが出来た。

20年前に死んだ恋人の夢に怯えていたN放送プロデューサが殺害された。犯行時響いた炸裂音は一つ、だが遺体には二つの弾痕。番組出演のためテレビ局にいた小鳥遊練夢は、事件の核心に位置するアイドルの少女と行方不明に……。繊細な心の揺らぎと、瀬在丸紅子の論理的な推理が際立つ、Vシリーズ第4作!

森作品においていつものことではあるのだが、表面的なミステリィとその裏側にある(そして、おそらく著者としてはこちらこそが本筋であるとイメージして作品を書いているのではないだろうか)著者の思いを登場人物の言動によって訴えている?ような部分。そのバランスがよく、ミステリィとしても場面転換や映像的な場面の映像がイメージしやすい展開で面白い。
私としては、前作がちょっと面白みが欠けていただけに、本作は逆に楽しむことが出来た作品でした。