BitVisor

産官学連携の「セキュアVMプロジェクト」が国産セキュア仮想マシンモニター"BitVisor"開発初期版をリリースしました(※リンク先はPDF)。筑波大学を中心として、国内システムベンダー各社やソフトイーサ社などが参加したプロジェクトによる最初の成果が公開されたことになります。
それにしても、仮想化はこの数年ですっかり特別なものではなくなりました。BitVisorもCPUなどの仮想化支援機能を利用することによって、コード量をわずか20000行に抑えています。
BitVisorはIntel-VTが必須、将来的にはVT-dなどの各種仮想化技術を必須とする仕様となる見込みです。まぁ将来におけるハードウェアリソースは、そうした機能を搭載していることが一般化することが見込まれるため、「任せられる部分は任せる」ことにより開発リソースを集中させているのでしょう。
仮想化といえばVMware, Xen, Hyper-Vの三つどもえの戦いといわれています。BitVisorがそういった意味で、商業的な成功に結びつく可能性はほとんどないでしょう。そうした取り組みに、国が資金を提供することの意味が問われている面もあります。しかし私としては、道路を造るよりは、こうしたプロジェクトに資金を投じ、成果を公開することによって「将来」のなにかにつながる可能性の芽を育てるような取り組みを支えることは価値があるのではないかと思っています。
日本がソフトウェア技術で世界にどのように貢献できるのか。こうした情報が大量に、しかも無償で公開されていることが当たり前になった時代に生まれた世代がどういったアウトプットを生み出すのか、そうしたきっかけになるかもしれないのであれば、それだけでも十分意味のある取り組みであるといえるでしょう。
http://www.securevm.org/