月刊アスキーの連載を読んでいた人も、対談部分を読むためだけにでも買う価値のある1冊。
おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書)
- 作者: 中島聡
- 出版社/メーカー: アスキー
- 発売日: 2008/03/10
- メディア: 新書
- 購入: 12人 クリック: 531回
- この商品を含むブログ (270件) を見る
- はじめに
- 第1章 おもてなしの経営学
- 第2章 ITビジネス薀蓄
- マイコン少年から経営者へ。『月刊アスキー』と私の「縁」
- ダブル--メジャー
- たった1ページの仕様書から始まったウィンドウズ95
- グローバルな人材市場で求められる価値=英語力
- 古くて新しいパーソナル--コミュニケーション
- 空白の5年間
- アドビの英断、さてマイクロソフトは?
- 大企業にしかできないこと、ベンチャー企業にしかできないこと
- ウェブ2.0とエグジットプラン
- NGNとイノベーションのジレンマ
- 米国の強さはその「超楽観主義」にあり!?
- iPhoneが加速する業界の再編成
- 再就職が難しい社会では生涯教育が成り立たない
- アジャイルな開発手法とクラフトマンシップ
- SEO業者とグーグルのいたちごっこ
- コラムとブログとブラックホールと
- そしてすべてはサービスになる
- 第3章 特別対談
- PartI 西村博之 ニコニコ動画と2ちゃんねるのビジネス哲学
- ひろゆきへの見方が一変する!? 『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか』
- ウィンドウズを使い続けると遅くなるのは私の責任!?
- グーグルの存在はマイクロソフトにとって脅威ではない?
- 朝も夕方も駐車場がガラガラのマイクロソフトは是か非か
- 誰でもまねできるグーグルに将来は見えない?
- マイクロソフトの開発チームを引き締めていた副社長の存在
- グーグルが目指すのはインフラ企業、もしくは何も考えていない?
- インターネットの世界とかけて歌舞伎町と解く。その心は?
- ニコニコ動画が大ヒットした理由は「たまたま」
- ニコニコ動画のアクセス急増から見える日本の通信政策の問題点
- ニコニコ動画の次の展開はハードディスクレコーダー
- 広告に頼らず、売り抜けせず低く回し続ける2ちゃんねる
- 大ヒットの前提は継続すること、継続の前提は面白いと思えること
- 立役者になるメリットがない日本に住み続ける理由
- PartII 古川 享 私たちがマイクロソフトを辞めた本当の理由
- タコ部屋の突貫作業でPC-8001のゲームブックを作成
- あのジョブズも度肝を抜かれた? CANDY開発エピソード
- 30年越しで明かされるフロッピーディスクユニットのコード裏話
- アスキー卒業。NTT、そしてマイクロソフトへ
- 意外!? マイクロソフト社内で長らく冷遇されていたウィンドウズ
- 社内クーデターでCairoチームからウィンドウズチームに加入
- 傍流のウィンドウズ95がマイクロソフトの中心になった奇跡の逆転劇
- ウィンドウズのエンジニアを虜にしたインターネットの衝撃
- インターネットとオフィス、マイクロソフトが抱え続けたジレンマ
- 次世代光ディスクの一件で感じたマイクロソフトの企業としての臨界点
- 「天を向く」「お金を稼ぐ」のベクトルが一致できる米国のベンチャー
- 徳川家康の日本では出てこない「織田信長」のiPhone?
- パーソナルコンピューティングの時代で一個人を認め合うブログの意義
- グローバル経済圏での成功を阻む資本主義と経営者のモラルのバランス
- 地上デジタル放送、iPod課金問題から考える政府が果たすべき役割
- PartIII 梅田望夫 「ギーク」「スーツ」の成功方程式
- ギーク--スーツの中間層が存在しない日本のソフトウェア産業
- 恐怖の中でビジネスをたたき込まれる200人のゲイツ--クローン
- エンジニアとしての実力がものを言う弱肉強食の世界
- ソニーがiPodを作れなかった理由は「中間層」の不在?
- 日本のソフトウェア産業に顕著なギークとスーツの憎み合
- 「日本発世界」産業の勃興でスーツとギークの中間層は生まれる
- 産業が伸びてこそ「起業のインフラ」は整備される?
- インターネットサービスの新しい生態系が切り開く未来
- アンドロイドはグーグルの将来を掛けた一大勝負?
- シリコンバレーの多産多死のメカニズムを社内で実現したグーグル
- ブログは新しい「私塾」の始まり
- 人生の最大の失敗をプラスにつなげる方法
この目次をざっと眺めただけでも、興味がそそられないだろうか。第1章、第2章の非常にわかりやすく、説得力のある読みやすい文章とがらっと異なり、第3章の対談は対談収録形式であるにもかかわらず、非常に濃い。特に"Part II 古川 享 私たちがマイクロソフトを辞めた本当の理由"はある意味で創業期のマイクロソフトを知っている2人だからこその内容となっており、非常に熱い。対談相手として、西村博之、古川亨、そして梅田望夫というかなり濃い、それでいて志向性はまったく異なる3人が選ばれている点も本書の魅力だろう。
書評とタイトルを打ちつつ、本書は書評しても仕方がない。きっとこの本をすっと受け入れることができる人は多いだろうし、著者のBlogやこれまで公開されてきた文章などを読んだことがない方であればよりいっそう、目からうろこの内容もきっとあるはず。目次の内容に少しでも興味が持てるのであれば、読んでみることをオススメする。