人間行動に潜むジレンマ―自分勝手はやめられない? (DOJIN選書 13)
- 作者: 大浦宏邦
- 出版社/メーカー: 化学同人
- 発売日: 2007/11/20
- メディア: 単行本
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- カードの規則性を判断する
以下の4枚のカードが提示されているとして、「偶数の裏側にはひらがなが書かれている」という規則があるかどうかを確認するためには、どのカードを裏返して調べる必要があるか
3 あ 6 カ
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- この実験をすると、6〜8割の人が「あ」と「6」のカードを裏返す必要があると答える
- 正解は「カ」と「6」。『偶数→ひらがな』である必要性はあっても、『ひらがな→偶数』である必要はないので「あ」は確認する必要がない。逆に、「カ」の裏側が偶数だとすると、『偶数→ひらがな』の規則に反することになる。
以下の4枚のカードが提示されているとして、「20歳未満は飲酒していない」という規則があるかどうかを確認するためには、どのカードを裏返して調べる必要があるか
25歳 飲酒していない 17歳 飲酒している
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- この実験をすると、7〜9割の人が「17歳」と「飲酒している」のカードを裏返す必要があると答える
- この問題は、上記の「偶数→ひらがな」規則の確認と同じことを、偶数→20歳未満、ひらがな→飲酒していない、に置き換えただけ
→この結果からは、人間は生活に関係のない論理学的な問題には弱くても社会的なルールについての問題となると「同じ規則の識別」について出題しているのに大きく正解率が異なることがわかる
- 自分勝手とは、「自分の利益になる一方で、他人に不利益をもたらす行動」と定義される
- 行動の4類型
他人にプラス 自分にマイナス 利他行動(LOSE-WIN) 共栄(WIN-WIN) 自分にプラス 嫌がらせ(LOSE-LOSE) 自分勝手(WIN-LOSE) 他人にマイナス
→自分勝手な行動をやめることは、利他的な行動をすることと同じことを意味する
自分↓ 友人→ 黙秘 自白 黙秘 1年,1年 5年,0年 自白 0年,5年 3年,3年
- 共犯の2名が捕まり、個別の取調室で黙秘するか自白するかの選択を迫られている
- 2人とも黙秘していれば、2名とも懲役1年で済む
- 自分が自白し、相手が自白しなかった場合は自分は懲役を免除されるが、相手は5年の懲役となる
- 相手が自白し、自分が自白しなかった場合は相手は懲役を免除されるが、自分は5年の懲役となる
- 2人とも自白した場合には、2人とも懲役3年
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- 2人トータルでの利益が最も大きいのは、お互いに黙秘を貫き、1年ずつの懲役となること(+2)
- しかし、2人は相手の対応を知ることはできないため、それぞれだけの立場での最適解を選択することになる
- 自分の立場だけから考えた最適解は以下のようになる
- 相手が黙秘した場合、自分も黙秘していた場合は1年の懲役となり、自分が自白した場合は懲役を免除される。よって、自分は自白した方が良い
- 相手が自白した場合、自分が黙秘していた場合は5年の懲役となり、自分も自白した場合は3年の懲役となる。よって、自分は自白した方が良い
- この結果、自分は相手がいずれの選択肢を選択するとしても自白の方がメリットがあるため、自白を選択することになる
- この結果は上述した、2人に取っての最適な選択である(黙秘,黙秘)ではない(=つまり2人にとって最適な解ではない)状態となってしまうというジレンマに陥っている