- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/11/12
- メディア: 文庫
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大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状のの傷が残されていた。捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する!
本書では様々な場所で様々なトリックを使った密室殺人が行われていくのだが、その前半部分の密室トリックがだいぶ前半で明かされてしまうという展開が斬新。相変わらず犀川助教授は事件の動機には興味を持たないのだが、その分、西之園萌絵がそのお嬢様ぶりを発揮してグイグイと犀川(と読者)を引っ張っていく構図は変わらない。第4作になり、犀川と萌絵も次第に進展してきているのだが、毎回それなりにピンチに巻き込まれる西之園萌絵がついに危機一髪に。そうした中で、犀川と萌絵の関係は次第に明確なものになっていくー。
作家活動をビジネスとしてとらえている森博嗣の作品が多くの読者に支持されるのは、適度なトリックに基づくミステリィと、登場人物の個性やこだわり、そして犀川などの言葉として読者に伝えられる森博嗣の明確な学問に対するスタンスなどがターゲットとする読者層に受け入れられているからだろう。
通算で1000万部は売れているだろうから(とんでもなく余計なお世話だし計算も正しくないだろうが、作品の平均価格が800円だとして、10%が著者の取り分(印税)だとしても100,000,00*800*0.1=8億円だ)、もはや森博嗣は収入という意味では作家活動を続ける必要性すらないのであるが、1作でも多く、作品を生み出してほしい作家の1人だ。というか、作家活動で得た収入を思いっきり趣味に投入しているところがなかなか興味深いのである。