書評:『心はプログラムできるかー人工生命で探る人類最後の謎』有田隆也/サイエンス・アイ新書

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心はプログラムできるか

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書評/IT・Web

本書は蟻のフェロモンについての話から始まる。サウスウエスト航空が貨物運送の効率化を図るために「蟻のえさ集め」を参考にした、という話だ。どのようなロジックに基づいてシステム化されているのかは明らかにされていないようだが、フェロモン的なものを数値に置き換え、貨物輸送が最適化される「流れ」を最適化するようなツールが作り出されているのだろう。
そんな話から、生物の持つ様々な要素をプログラムに落とし込んでいく様々な事例が本書では紹介される。いわゆるデジタル生命によるシュミレーションの最大のメリットは世代進化をすさまじいスピードで進めることができるところだろう。デジタル生命の世代進化に伴う突然変異のプログラム的な作り方による違いなど、かなり専門的な部分にまで話題が広げられていて興味深い。
学習度や適応度などなど、様々な要素をプログラム的に取り込み、研究が進められている。こうした新しい仕組みの研究に興味がある人にはとても役立つ一冊だろう。
生活の中に完全に独立した人工生命が入り込むことはまだまだ先だろうけれども、補助的な仕組みとしてこうしたプログラミング生命がより幅広い分野で活用される時代はすぐやってくるのだと思う。

(11/26追記)
著者のBlogで紹介頂き、Trackbackも頂きました。ご丁寧にありがとうございます。
http://lecture.alife.cs.is.nagoya-u.ac.jp/netcom2007/blog/arita/?eid=10
こちらの書籍紹介ページでも、当投稿の一部をご紹介頂いています。
http://www.alife.cs.is.nagoya-u.ac.jp/~ari/stuff/mindbook.html