書評:『私たちはどうつながっているのかーネットワークの科学を応用する』増田直紀/中公新書1894

ネットワーク理論は私のライフワークなので、本屋でみつけた本書を即購入。

私たちはどうつながっているのか―ネットワークの科学を応用する (中公新書)

私たちはどうつながっているのか―ネットワークの科学を応用する (中公新書)

日本においてネットワーク理論の著書を何冊か記している増田直紀さんの新刊の新書本。奥付で著者の増田さんが1976年生まれの31歳ということをはじめて知った。ネットワーク理論自体がこの10年ぐらいで急速に展開されてきた理論なので、研究者も必然的に若い人ということになるのかな。
新書ということもあって、本書の説明はとてもわかりやすい。ネットワーク理論の面白さを知るきっかけとしては手ごろな一冊。なんといっても日本人が著者なので、翻訳モノにつきものの不自然さがないので読みやすい。ネットワーク理論そのものを説明する、というよりもネットワーク理論が たとえば身近な「人と人とのつながり」においてはどういう意味を持つのか、そしてネットワーク理論によってどういう「つながり」がどんな意味を持ち、役割を果たしているのか。ということがとてもわかりやすく説明されている。
パラパラとページをめくると点と線からなる簡単な図は出てくるが、本書には一切数式は出てこない(同じ著者の「複雑ネットワークの科学」(産業図書)とは正反対ヾ(*´∀`*)ノ゛)。新書なので持ち歩きやすいし、朝の通勤時間にちょっと頭に刺激を与える一冊としてはとてもオススメです。
本書を通じてネットワーク理論に興味を持った方は本書の末尾に掲載されている"関連文献"をご参考に。日本語で手に入るネットワーク理論の書籍はほぼこの関連文献で網羅されています。"●複雑なネットワーク全般についての文献"に記載されている書籍は、個人的には以下の順番で読むことをオススメします。

  1. 『スモールワールド・ネットワーク』ダンカン・ワッツ
  2. 『SYNC』スティーヴン・ストロガッツ
  3. 『複雑な世界、単純な法則』マーク・ブキャナン
  4. 『新ネットワーク思考』アルバート=ラズロ・バラバシ

スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法

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  • 作者: ダンカンワッツ,Duncan J. Watts,辻竜平,友知政樹
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2004/10/01
  • メディア: 単行本
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