書評:『会社じゃ言えないSEのホンネ話』きたみりゅうじ/幻冬舎

SEのホンネ話―会社じゃ言えない
きたみ りゅうじ
幻冬舎 (2007/03)
売り上げランキング: 2168

おそらくこの本を読んでいる人の10人中7,8人はSEか元SEだと思う。きたみりゅうじさんといえばSEの過酷な労働環境を描いた漫画や文章を描いている一連の作品が人気だが、なんで日々実際にそうした環境で戦っていながら本でまでそうした苦労話を読んでいるんだろうとふと思ったりもする。きっと、それは同僚と酒を酌み交わしながら愚痴をたれるのと一緒で、「そうそう、そうだよなぁ〜」という気持ちにさせてくれてストレスを解消してくれるからなんだろう。
個人的にはきたみりゅうじさんの作品では『新卒はツラいよ!』が1番のお気に入りなのだが、本書もなかなか面白い。本書は過去を振り返る視点で書かれているので現場の生々しい状況というよりも一歩引いた冷静な視点で書かれているのだが、これはこれでいろいろと考えさせられる部分もある。
いつのまにか茹でられてしまうゆでがえるのように、いつのまにか残業・徹夜に慣れてしまうことの怖さなんていうのはきっと多くのSEが「おっと」と思う内容なんじゃないかと思う。
かくいう私も椅子、床、応接室のソファー、なぜか置いてあるベッド、梱包財を詰め込んだ段ボール箱の上などいろいろなところで寝てみたことがあるが、「どうすれば寝やすいか・どこが寝やすいか」などと会社で考えてしまうこと自体、かなり毒されているといえるんだろうなぁ…。やっぱり。

新卒はツラいよ!