書評:『ルリボシカミキリの青』福岡伸一/文藝春秋

『生物と無生物のあいだ』『できそこないの男たち』『動的平衡』『世界は分けてもわからない』と、4作を書評してきた福岡伸一氏の最新作。残念ながら新書ではなくハードカバー本。週刊文春連載のコラム「福岡ハカセのパラレルターン・パラドクス」の再構成・再編集版。

ルリボシカミキリの青

ルリボシカミキリの青

新書も素晴らしく上手い文章だったが、コラムを書いてもこれほどとは。というのが素直な感想。適度に盛り込まれた理科的知識の刺激と、福岡ハカセの人間的な魅力が絡み合って、どの回もとても読み応えのある(それでいて、すっと読むことができる)コラムに仕上がっている。再構成によるものかもしれないが、連載コラムをまとめた書籍でありながら、そこに1本の流れがしっかりとあるところもまた、読みやすさと引き込まれやすさの理由かもしれない。
1200円のハードカバーということで、持ち歩き読みに適さないのが至極残念なのだけれども、それでもちょっとした時間に、手元にあるときっと価値のある一冊。