書評:『λに歯がない λ HAS NO TEETH』森博嗣/講談社文庫

Gシリーズ第5弾。

λに歯がない λ HAS NO TEETH (講談社文庫)

λに歯がない λ HAS NO TEETH (講談社文庫)

φ(ファイ)、θ(シータ)、τ(タウ)、ε(イプシロン)ときて、今回はλ(ラムダ)。さて、それではおきまりの、これまでの書評の紹介。

森博嗣ウェブサイトの刊行予定表によると、Gシリーズ第6弾「ηなのに夢のよう」の刊行は7月とのことなので、今年のGシリーズ書評は2冊だけの見込み。ま、刊行スケジュールを追いながら読んでいるので仕方がないか。4-5月は刊行予定の作品もないようなので、うーん、やはり次第に減っていくなぁ。

完全に施錠されていたT研究所で、四人の銃殺死体が発見された。いずれも近距離から撃たれており、全員のポケットに「λに歯がない」と書かれたカードが入っていた。また四人とも、死後、強制的に歯を抜かれていた。謎だらけの事件に迫る過程で、西之園萌絵は欠け落ちていた過去の大切な記憶を取り戻す。

本筋の密室殺人事件はもはや味付け程度?の扱いで、S&Mシリーズとは別シリーズ扱いながら本シリーズは登場人物たちの内面深淵に迫る作品になりつつある気もする。本作だけを読んでいても登場人物たちのバックエンドやつながりがわかりづらい部分もあるので、シリーズとして読むべきパーツ作品でしょうか。とまで書いてしまうと、書きすぎかな。
人気があるシリーズですが、単純なミステリーではなく、登場人物たちの掛け合いや、ストーリーの絡み合い・伏線の挿入などを楽しむ視点で読むと、より面白いのではないかと思います。