ラジオをネットで同時放送。でも…

AM、FM、短波の大手民放ラジオ局13社は、3月中旬から、地上波と同じ放送内容をインターネットでもサイマル(同時)送信することを決めた。日本音楽著作権協会JASRAC)や日本レコード協会といった権利団体とも合意を得た。2月中にも正式発表する。
パソコンなどから「RADIKO(ラジコ)」のウェブサイトにアクセスすれば、無料で地上波と同じラジオ放送を聴けるようになる。ただし、アクセス元のIPアドレスから住所を類推する仕組みを用いて、当面は首都圏と大阪府の利用者に限定する。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100210/212732/
大きな一歩だとは思いますが、結局は利用者制限。うーん、どうしてそうなるんかなぁ…。そもそもネットにおいて地域制限しようという発想自体に無理がありますし(かいくぐる方法はいろいろありそうですし、逆に制限されないはずがされてしまうなどの問題も発生しそう)、目指している目標に対して自ら枷をはめているような行いだと思います。

海外では既に始まっているラジオ放送のネット同時送信。日本でも事態が大きく動いたのは、受信環境と経営環境の悪化に窮する大手各社の思惑が一致し、足並みが揃ったからだ。
ネットへのシフトを進めた場合、電波の聴取者が減ったり、広告に影響が及んだりする可能性があり、大手各社は二の足を踏んでいた。だが、大手ラジオ局関係者は「都市化で受信障害が増え、ラジオ受信機そのものも減っている。聴取者と広告費の減少が止まらず、いよいよ食えなくなってきた」と漏らす。

そこまでわかっているなら、なぜ!と。ラジオ局の免許が地域ごとに与えられているのはわかりますが、それは電波帯域の有効活用や地域分割による独占防止などが名分になっているはずです。キー局の放送を地域に放送している地方局との関係を考慮した結果だとは思うのですが、インターネット放送だからこそ、そうしたしがらみを超えて欲しいと思うのです。ユーザの利便性を高めることによってラジオの価値を高める、結果として広告価値を高めて業界としての生き残り・発展を目指すということを目的とするのであれば、一切制限なしで「これまで放送を楽しめなかった」ユーザを最大限取り込んでいくことこそ最も有効のはずです。地方から出てきた人が地元のラジオを聴いたり、海外などに行ってもラジオを楽しめる環境を作ればユーザ数はかなり増加するのではないでしょうか。
radico.jpとかなれ合って共通システムを使っていないで、先行して突破口を開く会社が出てくればなし崩し的に制限なしでのネット放送が始まるのではないかと思うんですけれどもね…。せこせこしている間に共倒れするぐらいなら、業界の異端児となってでも飛び出る大手放送局が出てきて欲しいものです。