9坪ハウス

さすがにそこまでチャレンジャーにはなれなかったのですが、究極のシンプル住宅形態の1つは「9坪ハウス」シリーズだと思います。9坪ハウスを事業として行っている会社(コムデザイン株式会社)もあります。9坪ハウスという概念自体は建築家 増沢洵氏の自邸にその起源がありますが、この会社は現在の建築家と組むことによって「現在的な」9坪ハウスシリーズを提案しています。製品ラインナップとして各建築家が作ったプランが紹介されていますが、かなり原型に忠実なタイプから9坪ハウスのコンセプトを守りつつもかなり発展したプランまで様々。各建築家の思いや志向も反映されていてそれぞれが新しい9坪ハウスとなっています。
一番観ていて面白いのが実際に建てられた9坪ハウスの建築事例紹介。9坪という基準であるがゆえに限られたパターンの選択肢しかないわけですが(9坪に3坪を足した12坪ハウスが事例として多いのだけれども)、逆にそれが家を究極のシンプルに仕上げていて暖かな住まいになっている様子が伝わってきます。暗くなった際に大きな開口となっている窓から明るい光が外にはっきりと伝わるからでしょうか。
9坪ハウスを選択することは生活空間として充分であっても収納を考慮することはなかなか難しいでしょう。そういう意味で、物質的にもシンプルな生活をおくることを決断できる人だけに許される、逆の意味で究極の贅沢といえるかもしれません。
狭小を超えた究極の家。この建築事例紹介は参考になるのですが、ぜひ生活が始まった後についてもレポートしてもらいたいとは思います。プライベートな世界なわけでなかなか難しいでしょうけれどもね。

9坪ハウス 小さな家で大きな暮らし

9坪ハウス狂騒曲 (知恵の森文庫)

おうち、建てちゃいました。 (祥伝社ムック)