五味太郎さんの絵本ではない本、2冊目。
- 作者: 五味太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/07/15
- メディア: 文庫
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- やはり「学校問題」である
- そして「家庭問題」である
- つまり「結婚問題」である
- ついでに「老人問題」である
- ちなみに「からだ問題」である
- ようするに「一般社会問題」である
- けっきょく「教育問題」である
- まとめて「人権問題」である
絵本に含まれるフレーズは短い。そうしたフレーズの中に、如何に伝えたいことを込めるか。絵本を通じてそうした言葉を紡ぎ出してきた五味太郎さんが、そのままの勢いで本として文章を紡ぎ出しているのだから、本書に含まれる言葉の重みはとてもある。
教科書が必要なのはむしろ教師です。指定された教科書を、指導の手引きを参照しながら、そのまま実施していきます。手引きにはけっこう細かく、「この箇所の意味を考えさせます」とか「○○について話し合わせるのもよいでしょう」みたいなことが書いてあります。それにのっとって教師は「これはどんな意味かな……」なんて質問したりします。お芝居みたいです。
ははは。手厳しい。たしかに検定教科書も問題だが、それ以上に教師の指導要領はもっと問題かもしれない。
人生はお遊びですが、生命はお遊びではありません
ふむ。子供の人生にきっかけを与えることは親として重要だと思いますが、たしかにそれ以上に踏み込むことはどうかとは思います。
梯子に登れば落下の危険はあります。水に潜れば溺れる危険はあります。自動車を走らせていれば追突される危険はあります。その危険を回避する努力は当人の仕事です。他人の仕事ではありません。ましてや公の仕事ではありません。
シートベルト着用の義務に対して異を唱える著者ですが、はてさて。まぁ本人の意志の問題といってしまえばそれまでですが、ここまで車社会になり、車に乗る必要性がある状態にまでなった現在においては、ある程度は仕方のないことだとも私は思います。
「納税民主主義」というものを考えたことがあります。
多くの人々はほとんど「税金はとられるもの」と思っていますが、そんなことではいつまでたっても大人になれません。納税こそ、正しい大人の仕事です。あるものを稼いだら、所得税を納めるという行為はまったく正しい。これを活用しない手はありません。清き一票なんて情けないことを言っているより、納税こそ政治に対する発言権だ、というのがいいと思います。
まず、国は国家予算の内訳を発表します。これはあくまで指針ですから、国防も災害対策も教育も老人福祉も宇宙開発も、すべて含んでいいと思います。これに対して、納税者は自分が納めた税金の割り振りを決めます。たかが十万円でも、たとえばその人が国防が大事だと思えば、十万円全部をつぎ込む。教育もちょっとは大事ね、と思えば一部は教育に回す。それでみんなの税金が国防に集まれば、それがすなわち民意ということです。これなら、今の政治のように、政府の決定と民意がずれるという事態は起こり得ません。
実際にやるとなるといくつかの根本的な問題があるが、それでもこの考えの骨格にあるものは重要だ。ただ、どうしても自分が大切な人間は、自分の利益につながる用途に使いたがるし、目先の利益を優先しがちになるので、なかなか難しいのだけれども。
地雷禁止法に関するニュースを見るたびに、もうこんな世界とつき合うのはやめたいなと思います。地雷禁止法をつくるぐらいなら、なぜ戦争禁止法を作らないのでしょうか。
「地雷はダメだけど、ミサイルはOKです」なんて、「チョップはいいけれど、目突きはダメ」などとやっているプロレスのルール以下の話です。とても子どもに説明はできません。
一歩でも前進することをよしとするか、なぜ大多数の人が実現できると素晴らしいと思っているはずの戦争禁止を人類は実現できないのか、その辺りはこの社会の根本的な矛盾といえるかもしれません。
インターネットは馬鹿の象徴だと思います。
うーん、これはどうかな。インターネットは馬鹿、とはいえないでしょう。そんなこといったら、車は馬鹿とか、それこそ本は馬鹿と言っているのと同じことになります。インターネットそのものに問題があるのではなく、やはりそれを使う人の側にこそやはり問題はあるのです。インターネットはあくまでも道具に過ぎません。それをどう使うか、よいアウトプットを産み出すかは使う側の人次第です。
ここで紹介した文章は私の目にとまったほんの一部。本書に収められた数々の言葉から、自分の考えを改めてじっくり見直してみるのもいいかもしれませんよ。