書評:『クレィドゥ・ザ・スカイ Cradle the Sky』森博嗣/中公文庫

スカイ・クロラシリーズ第5作、ストーリーの流れにおいては最終話である第1作『スカイ・クロラ』につながる第4話を構成する作品。

クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)

クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)

クリタとカンナミ、本作を読み解くのはちょっと難しい。きっと、スッとわかる人にはわかるだろうが、一度?が浮かんでしまうとなかなか難解な展開だ。

今だけがあって、それだけを考えていられたら良いのに。未来だって、せいぜい明日か明後日ぐらいまでしかなければ良いのに−「僕」は病院を抜け出し「彼女」の車で地上を逃げる。二度と空には、戦闘機には戻れないと予感しながら。永遠の時を生きる子供たちを描く、現代の寓話「スカイ・クロラ」シリーズ!!

はたして、クサナギをキーとするクリタとカンナミという存在とは?
本シリーズが「現代の寓話」たる根幹は、キルドレという存在への入口と出口にある。
5-1-2-3-4という順番で紡がれたストーリーであるスカイ・クロラシリーズは、冒険活劇でもあり、著者の思いがこめられた寓話であるともいえるだろう。