書評:『ウェブ時代 5つの定理 −この言葉が未来を切り開く!』梅田望夫/文藝春秋

敬称略。

ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!

ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!

この本をどう書評してよいのか、読み終えてもまだわからない。きっと、本書の価値を認識できるのは自分がさらに次の1歩を踏み出すことができたときになるのかもしれない。
本書は、梅田望夫が主にシリコンバレーを拠点として活動してきた中で自身を支える糧としてきた言葉を紹介し、その言葉について梅田の考えを説明し、その言葉から梅田が何を感じたかを綴り、そしてその言葉の裏側にあるものを梅田なりの見解として1冊の本にまとめた作品だ。内容としては、著者のこれまでの作品とはだいぶ異なる。著者の思いを読者に対して直接的にぶつける内容ではない。本書を通じて、梅田望夫は読者に何を伝えたかったのだろうか?『新しい創造的な何かを生み出すにはどうしたらいいのか。イノベーションやブレークスルーはどのようにすれば創出できるのか。』(p.261) そうした創造行為に対する意識やモチベーション、多くのチャレンジを創出し、多くの失敗の上に新たな世界を創出できるという思いを1人でも多くの読者(そして、おそらく著者が意識するターゲットは若者)に持ってもらうこと。イノベーションやブレークスルーそのものには直接的には結びつかなくても、そうしたものにつながるきっかけを生み出したいという著者の強い思いが本書からは感じられる。
本書で紹介されているすべての言葉は、本書の特設ウェブサイトに公開されている。まずはここに目を通し、そして気になる言葉があれば、本書を手に取ってみるとよいかもしれない。
著者が本書を一連の作品発表の最後?に持ってきたのは何故か、と考えてみた。きっと、著者はより多くの人に、著者がシリコンバレーで感じたものと同じ/近い感覚を伝えたかったのだろう。すでに種はまかれている。本書という栄養剤?がどれだけのきっかけに影響を与え、どれだけの結果につながっていくのか。10年、いや5年ぐらいでも様々なことが見えてくるかもしれない。おそらく著者もそうした思いを持っているはずだ。
http://www.bunshun.co.jp/umeda_web/index.htm