書評:『狭くて小さいたのしい家』永江朗、アトリエ・ワン/原書房

狭くて小さいたのしい家

狭くて小さいたのしい家

フリーライター永江朗さんがアトリエ・ワンの塚本さん・貝島さん、そして塚本さんが助教授を勤める東工大の塚本研究室に依頼して家を設計・建築する過程を綴った1冊。2004年刊行なのでもう3年も前の本なのだけれども、Book1stの上手いコーナー作りに乗せられてあげて購入。
永江さんの家に対する感覚は、本書を読む限り私と近い感じがする。もちろん、私の場合は家で仕事をするわけではないので50m分もの本棚は必要ないけれども…(でも20mくらいは必要かな…)。家に対する考え方、割り切り方、そしてコストをかけるべきところととことん削減すべき部分に対する考え方など、本書で紹介されている永江さんの新居「ガエ・ハウス」は色々と参考になる。
屋根から張り出した軒下に設けられた「下向きの」窓などはかなり斬新だが、たしかに理にかなっている。その他、屋根がそのまま天井となっている所や、化粧板を使わない地下スペース、白で統一された1Fスペースなど、家に対する割り切りとこだわりが面白い。
本書は永江さんの視点からだけでなく、アトリエ・ワンの2人や東工大の研究室メンバー、建設に携わった職人などの視点からの対談や文章も含まれているところも本書の特徴。施主の目線だけでなく、建築家や施工業者が何を思い、何を考えて家が創り上げていったのかを知ることができます。
いわゆる狭小住宅本ですが、家についてだけでなく、建築に関わる人たちの思いが伝わってくる1冊です。

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