- 作者: 西村博之
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2007/06/29
- メディア: 新書
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私は2ちゃんねるはそんなに使わない(でもFirefoxにbbs2chreaderモジュールはしっかり入っている(;´∀`))けど、それでも2ちゃんねるの存在は日本人のインターネット世界にとって重要だと思う。
p.15
ライブドアがなくなったとしても似たような会社は出てこないでしょう。なぜならライブドアがないと困る人が少ないからです。しかし、2ちゃんねる的な場所というものは、ないと困る人がいる。つまり、2ちゃんねるがなくなれば、似たようなWebサイトが登場してくることになります。
ライブドアがなくてもいい会社かどうかは置いておいて、2ちゃんねるがそのままの姿で存在し続けている理由はたしかにそういうことなのだろう。
p.173
2ちゃんねるは、その玉といわれる正しい情報を拾い出すためのアーキテクチャがしょぼいと言う人もいれば、コンピュータ関係のニュースを扱う掲示板『スラッシュドット』のようにコメントの評価システムがあるものが優秀だと言う人もいます。誰かが書いたことに対して誰かが投票するというような、ソーシャルブックマークのように、集合知のモデルというのがWeb2.0というものでは行われているようです。
しかし、玉の定義を何にするかによって、話が変わってきます。ソーシャルブックマークやスラッシュドットでは、面白いものを見つけ出すことは確かに可能です。しかし、正しいものが拾い上げられているかというと、すべてが正しいとは言えないでしょう。ソーシャルブックマークやスラッシュドットは、閲覧者が評価する投票システムにすぎません。人が増え、大衆が評価するようになると、大衆のレベルで正しいと思えるものを拾い上げる装置になってしまうのです。
(中略)
受け売りですが、あるブロガーが書いた、「ガリレオ・ガリレイの時代に集合知があっても、地球が回っていることにはならなかった」ということと同じ原理で、集合知が正しいということが間違っていて、大衆が間違えてしまうこともある。その前提を覆さなければ、結局、集合知だと思っていたことが、実は集合愚だった、ということにもなりかねないのです。
BlogやMixiが出てきて2ちゃんねるはその影響を小さくするかと思ったが、全然そんなことはなかった。RSSやトラックバック、投票機能など、最近流行のWeb2.0的な?機能を一切持たない2ちゃんねるだが、そのポジションは人が文字によるコミュニケーションを望む限り、なくならないのかもしれない。
ITの様々な出来事にもやもやした疑問を感じている方にはぜひ読んでもらいたい一冊である。