書評:『スピードハックス』−大橋悦夫・佐々木正吾/日本実業出版社2007


スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術

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世の中ではいわゆる「まとめサイト」がよくはてブ対象となっているが、この本も効率化関係Hackのまとめ本のようなかんじ。
こうしたHackはすべてが役立つわけではないし、Hack同士で矛盾もあるので「自分にとってどういうHackが役に立つのか・役に立ちそうか」という視点で読む必要がある。そういう意味では、1/3ぐらいは既知もしくは実践済のHackで、1/3ぐらいは私にとっては不要と判断するHackで、残りの1/3ぐらいが「なるほど」と思える内容であった。
本書では章立てていろいろな効率化Hacksが載っているのだが、同じことをいっているHacksもけっこう多い。ざっと読んで私にとってメモしておくといいかも、と思ったHacksは以下のとおり。

  • タスクリストに居座る項目は細分化して処理が進むようにする
  • 常連タスクはタスク上で処理済にしてしまって実行を促す(認識的不協和)
  • タスクの名称は取り組みやすいものに変える
  • やらないであろう予定はタスクに入れない
  • どこから手をつけたらよいのかわからないことは、とりあえず手をつけてみる
  • 必要な作業を洗い出してから取り組む
  • 集中タスクと分散タスクの使い分け
  • 実際の所要時間を認識するために作業記録をつける(反省と以降への活用)
  • やると決めたことは他人に表明する(恥の活用)
  • 1日を複数のセクションにわけて時間を管理する
  • 小さな締め切りを設定する
  • 環境を変える/他のことに邪魔されない環境に身をおく(メールや電話etc)
  • 雨の日リスト(イレギュラー時に実施するリスト)を用意する
  • 他人と仕事をする(いわゆるペアプロ的なもの)
  • 懸案事項を「すべて」書き出す(GTDデビッド・アレン氏)(不安の解消[気になっていることがなくなる])
  • いつか必要になるかも知れない事項はまとめてリスト化しておく(思い出すための時間の短縮)
  • 途中経過・未完成状態を共有する
  • 選択肢を用意する(「つもり」の回避)

この一覧を見てもらえばわかるが、Hacksは別に新しい発見ではなく『すでにある仕組みをよりうまく回すための工夫』(本書より)なので、意識せずに実践していることも多い。ただこうしたことをHackとして明確にし、意識して取り組むことができるようにすることでさらなる効率化、思考の切り替えができるようになるともいえる。
本書を執筆している2人の著者の間でもさまざまな物事に対する考え方や取り組み方が違う。そういう意味でも、この本をきっかけとして物事を効率良く行うためのスピードハックスを1つでも意識的に実行できるようになれば、たしかに個人の生産性は確実に向上できると思う。
300ページ弱あるが、Hacks紹介本なので本を読みなれている方であれば通勤時間を使って2,3日、あまり日ごろ本を読まない方でも1週間もあればさらっと読めてしまう1冊なのでこうしたHacksに興味を持った方がまず読んでみるHack本としてはお勧めできる1冊。
色々なブックマークレットやオンラインサービスなどを使っていない方(そもそもブックマークレットって何?という方も含め)にとって役に立ちそうないくつかのオンラインサービスも紹介されているので、そういう情報を得ることを目的にして読むのもよいと思う。