リスク?

ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて

株式を購入することはリスクを伴うといわれているが、FTによると今の企業社会では最もリスクを背負っているのは一般従業員だということらしい。
たしかに、株は流動性が高いので手放すことに対する障害は小さい。損失を出す可能性も高いが、損切りによってリスクを明確に制御できる。
対して、労働者は自分の勤める企業に大きく依存しており、(最近は次第に流動性が高まってきてはいるが)一部の例外を除いて多くの労働者は特定の企業に一生を賭けることになる。労働者にとって企業から与えられたストックオプション企業年金なども、確かに考えようによってはリスク要因といえる。
会社は株主(資本)だけでなく労働者(労働力)も欠かせない要素として構成されているだけに、筆者の書くとおり株主の利益だけを優先するのではなく、労働者の利益もある程度考慮した、長期的な視点に立った経営ができる環境を作ることは検討に値する。
株主と従業員の間で短期的な利害の相違が発生した場合に単に株主の利益を求めるのでなく、中長期的な視点も考慮に入れることによって、労働者にとっての利益との相違を解消できる場合もあるだろう。四半期ごとの利益が重視される最近の行き過ぎとも思える株主重視の経営スタイルから、もうちょっとバランスの取れた、企業経営が重視されるようになればいいとは思うけれども、そう簡単ではないだろうなぁ…。