日本のクラウドは単なるリソース貸しなのか?

GoogleやらAmazonやらの面白いところは、自社のサービスを支える基盤を作り上げていった結果として、それが他に類を見ない、独自性を持ったITインフラリソースを抱えるに至っているところ。ポイントはそのリソースが「自分」のために作り上げたものであり、今後も「自分」こそが最大のユーザであり、サービスを提供するためにそのリソースを「自分」で作り上げ・維持していくことに拘りを持っているということだ。GoogleAmazonのサービスが安定的にかつ非常に大規模な処理を捌き続けていること自体がそのインフラの信頼性を実証していることになる。多くの企業がAmazon Web Services(AWS)を活用しているし、自社システムをGoogle Appsに移行してしまう会社もかなり大きな会社を含めてだいぶ出てきている。クラウドとは何か?SaaSHaaS?IaaS?PaaS?などと思っているうちに、オンラインサービスの1形態としてこれらのリソース貸しはじわじわと普及しつつある。
Googleは「検索」を追求した結果生まれた分散コンピューティング、特殊ファイルシステム、大規模データベース、プログラム言語などを活用して様々なサービスを生み出している。Googleのサービスを支えるそれらのリソースはあまりにも独自的なもの過ぎるので、それをそのまま提供されたとしてもそれを活用できるサービスを他社が作り出すことは難しいだろうし、このリソース自体はGoogleの根幹ともいえるのでそれがそのまま解放されることはないだろう。実際、GoogleGoogle Appsは仮想インフラ貸しというよりもWebサービス基盤貸しに近い。
対して、日本ではクラウドの話になると=データセンターの話、と捉えられることが多い気がする。裏側も仮想マシンだったりストレージの容量貸しだったりと、売り物が箱から形のない仮想ホニャララになっただけで単なるリソース貸しでしかない様に思えるのだが、どうなんだろう。根幹をしっかりと押さえつつ、管理ツールや運用支援ユーティリティを充実させ、さらに他社を巻き込んでさまざまなアプリケーションサービスを展開する王道な路線で行くか、何か特定の要素でとんがっていくか。
日本でも楽天などは王道路線でいけそうな可能性を持っている気がするけど、GoogleAmazonとは規模の差があるか…。クラウドのようなサービスの仕組みに移行すると次第にロケーションによる優位性はなくなっていくことになりそうなわけですが、ハコモノでは垂直統合が上手かったけどサービスの垂直統合ではすっかり後手に回ってしまっている気がしますね。