書評:『電車の運転 運転士が語る鉄道の仕組み』宇田賢吉/中公新書1948

別に鉄ちゃん?ではないのだけれども、毎日乗っている電車を支える仕組みって興味ありませんか?だって、毎日使っているんですから。

電車の運転―運転士が語る鉄道のしくみ (中公新書)

電車の運転―運転士が語る鉄道のしくみ (中公新書)

  • 第1章 鉄道の特徴
    1. 鉄道の長所と短所
    2. 鉄道の特性を生かすために
  • 第2章 発車と加速
    1. 運転士の立場から
    2. 電車の動力装置
    3. 空転
    4. 動力装置の大型化
    5. 輪軸方式
    6. 踏面の整正
    7. 運転士のノッチ指令
  • 第3章 走る−駅から駅まで
    1. ノッチオフと運転時間
    2. 惰行
    3. 運転途中での停止
    4. 運転士の乗務線路
    5. 走行抵抗
    6. 速度制限
    7. ランカーブ
    8. 電力が電車に届くまで
  • 第4章 止まる
    1. ブレーキと運転士の心理
    2. 滑走と粘着係数
    3. ブレーキの三重システム
  • 第5章 線路と架線
    1. ホームと車両限界・建築限界
    2. レール・枕木・バラスト
    3. 架線
  • 第6章 安全のこと
    1. 閉塞の考え方
    2. 信号機の種類
    3. 踏切警報機
    4. ドア
    5. 保安機器
    6. 列車標識
    7. トラブルへの対処
  • 第7章 より速く
  • 第8章 運転士の思い
    1. 運転士にできるサービスとは?
    2. 運転室のレイアウト
    3. 運転士の勤務
    4. 定時運転への努力

本書は、元運転士によって記されており、単なる鉄道技術本ではなく、運転士の視点から鉄道技術や仕組みについてが書かれている。また、技術面だけではなく、運転士の心理などといった、鉄道技術を支える技術以外の人という要素についてもしっかりと記載されていて読み応えがある。1運転士であったという立場から、現状の鉄道に対する苦言や声援も各所に盛り込まれているところが面白い。
非常に深い技術についてまでが扱われているわけではないものの、タイトルにあるとおり、鉄道の運転を取り巻く多面的な要素が1冊の新書にまとめられており、手軽に読むことができる通勤のお供だった。