モナコGP:予選&決勝

予選はパーフェクトだった。FマッサがPP、Kライコネンが2番手。モナコで勝てないフェラーリがついに呪縛から解き放たれるかと期待が持たれた。しかし、結果としてはFマッサは2位がやっと。Kライコネンはタイヤ装着が遅れてドライブスルーペナルティを受けるというあるまじきミスによりポジションを大きく落とし、その後は5位まで順位を上げたものの挙動を乱してAスーティルのテールに激突、スーティルから初ポイント獲得のチャンスを奪い、自身はなんとか完走するも9位とノーポイントとなった。コンストラクターズポイントではいまだにリードを保っているものの、ドライバーズポイントではLハミルトンにトップに立たれ2位・3位に転落。荒れた天候が味方しなかったフェラーリだが、ピットワークももたつくなど、やはりモナコフェラーリに味方しないようだ。

予選3位のLハミルトンが今シーズン初戦のオーストラリアGPからひさびさの優勝をきめた。ドライバーズポイントではついにトップに立ち、コンストラクターズポイントでもBMWを逆転してフェラーリに次ぐ2番手に躍り出た。トルコGPでは本人も納得の会心の走りで2位となったLハミルトンだが、この大荒れのモナコGPは内容的には不満足だとしても結果としては大満足といえるだろう。予選4位のHコヴァライネンフォーメーションラップでスタートを切ることが出来ずにピットに押し戻されてのスタートという予想外の展開。非常に苦しい戦いを強いられたが、結果としては8位入賞。大荒れの展開の中、粘り強く走りきった。まったく納得の出来る結果ではないだろうが、それでもこの展開の中、1ポイントをチームにもたらしたことは後々に大きな価値がでてくるかもしれない(なんといっても1ポイントが明暗を分けるこの頃だ)。

予選5位のRクビサが2位に入る大健闘。一時はトップを走り、2強を苦しめた。Fマッサのミスもあったが、それを活かし、最後まで押さえきったのはさすが。ドライバーズポイントでも、トップLハミルトンからフェラーリ勢と並んで30ポイント台を稼ぎ出しており、十二分に今シーズンを面白くしている。予選13位に沈んだNハイドフェルドはFアロンソに追突されたこともあり、結局決勝でも14位フィニッシュ。いいところなしで来シーズンの命運やいかに。

ベテランコンビのレッドブルだが、今シーズンは確実にMウェバーがチームを引っ張っている。予選9位ながら最終的には大荒れモナコでしっかりと4位に入ってくる辺り、もはや職人芸といってもいいかもしれない。予選10位のDクルサードはSブルデーを巻き込んでクラッシュリタイア。いまだ0ポイント。運がなかったこともあったが、運も実力のうち。シーズン途中の交代はないだろうが、来シーズンのレッドブルのドライバーはきっと違う顔ぶれになっているだろう。

スーパーアグリがGPから去り、フォース・インディアとのテール争いを強いられる立場になっているトロロッソだが、そうした中でSヴェッテルが殊勲の5位入賞。やっとポイントを獲得した。BMWからレンタルされているSヴェッテルだが、昨シーズン後半にトロロッソのドライバーとなり、中国GPで4位に入ったのは記憶に新しいところ。もしかすると来シーズンはBMWのシートに座っているかもしれない。新人としてF1に今年から参戦しているSブルデーはここでも完走ならず。3戦連続で完走できていない。トロロッソレッドブルが手放すことがほぼ確定的であり、この状況だと来シーズンはF1のグリッドに並ぶことは難しいかもしれない。

  • ホンダ

荒れた天候といえばJバトンがお株だったが、今回は予選15位だったRバリチェロが健闘。中島一貴を押さえきって6位入賞を果たした。Jバトンは予選12位で荒れた天候の決勝と期待させるシチュエーションであったが、Hコヴァライネンにおしりをつつかれてスピンするなどもあり結果的には11位に終わった。ここまでのホンダは各ドライバーが3ポイントずつ獲得というお寒い状況。コンストラクターズポイントでもトロロッソに並ばれており、当然マニュファクチュアラーの中ではダントツの最下位。復調の兆しが見えないわけではないのだが、どうも結果には表れてこない。来シーズンに賭けているという台所事情もあるだろうが、今シーズンは今シーズンでそれなりに頑張ってもらいたい。

  • ウィリアムズ

ここ数戦は交互にどちらかがリタイア、どちらかがポイント獲得という状況が続いているウィリアムズ。予選6位と素晴らしい走りをみせたNロズベルグだったが、決勝では62週目にマシンを大破させるクラッシュでリタイア。オーストラリアGPに続く、2台入賞はならなかった。そうした中で、たった2ポイントとはいえ日本人初のモナコでのポイントを獲得した中島一貴は我慢の走り。新人ということもあり、レース内容はあまり良くなく、隙を見せて交わされることも何度かあったが、それでも最低限の期待にはしっかりと応えて見せた。Hコヴァライネンを押さえきっての7位は内容以上に価値はあるかもしれない。コンストラクターズポイントではルノーに並ばれたもののそれでもまだ4番手の立場を守っており、3強が飛び抜けている状況の中ではここまでは期待以上の結果を得られているといえるかもしれない。

予選7位とマシンのもてるポテンシャルは100%発揮するFアロンソだったが、結局自身の焦りもあり決勝は10位という結果に。マクラーレンの時のような菊しゃくはなくとも、別の意味でフラストレーションが溜まる状況だろう。2010年にはフェラーリ移籍というニュースも流れており、ルノーとFアロンソという組み合わせもそんなに長くはないかもしれない。NピケJrは48週目にスリップしてバリアにつっこんでリタイア。同じような状況になりながらも、なんとかかわしきったFアロンソに対して、やはりこの辺りが新人というか、超一流と一流の差といえるのかもしれない。未だ0ポイント。

予選8位と期待させたJトゥルーリ、予選11位と惜しくもQ3進出を逃したTグロック。大いに期待が持てたトヨタだったが、天候が回復していく中でエクストリームウェザータイヤを選択するなど、雨天大荒れの中の賭けに失敗して埋没。結局Tグロックが12位、Jトゥルーリが13位という何ともはやな結果に。今シーズン初めてJトゥルーリよりもよい結果を出したTグロックだが、依然として0ポイント。トヨタとしてはちょっと期待はずれなのかもしれない。佐藤琢磨がフリーになっているだけに、もしかするともしかしたりするか?